e北朝鮮ミサイル  脅威は深刻。国際社会は圧力を

  • 2017.08.30
  • 情勢/国際

公明新聞:2017年8月30日(水)付



北朝鮮が29日早朝に発射した弾道ミサイルは、北海道上空を通過し、襟裳岬の東方約1180キロの太平洋上に落下した。

発射直後、その情報は全国瞬時警報システム(Jアラート)に連動した防災無線やメールにより国民に伝えられた。「ミサイル発射」との警報に多くの人が恐怖を募らせたに違いない。新幹線の運転見合わせや在来線の一部運休、学校の休校など国民生活にも影響が出た。

まして今回、北朝鮮のミサイルは事前通告なしで日本上空を通過した。これは極めて異例の事態である。安倍晋三首相は「これまでにない深刻かつ重大な脅威であり、地域の平和と安全を著しく損なう」として、北朝鮮に厳重抗議した。当然である。

北朝鮮に対しては今月5日、国連の安全保障理事会で制裁決議が採択されたばかりだ。1カ月もしない中での新たなミサイル発射は、世界の平和と安定を願う国際社会への挑戦であり、断じて容認できない。

日米韓3カ国は、国連安保理に対し緊急会合の開催を要請した。北朝鮮は来月9日の建国記念日を控え、さらなる挑発行動に出ることも予想される。国際社会は、結束して北朝鮮への圧力を強める必要がある。

5日に採択された国連決議は、北朝鮮が新たなミサイル発射や核実験を強行すれば「さらなる重大な措置を取る」としている。その焦点は、北朝鮮に大きな打撃となる石油の供給停止だ。北朝鮮は、自らの愚行による代償の大きさを深刻に受け止め、挑発行動を速やかにやめるべきである。

この点、北朝鮮に強い影響力を持つ中国とロシアの役割は極めて大きい。日本政府は、両国に協力を呼び掛け、国際社会が一丸となれるよう努めるべきであることは言うまでもない。

気になるのは、Jアラートによる防災無線が作動しなかったり、訓練用のメールが誤って配信されるなどのトラブルが各地で相次いだことだ。原因を究明し、緊急事態への備えに万全を期したい。併せて、警報を受けた人がどういう行動をとったのかも検証すべきであろう。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ