eやさしく読める「LLブック」
- 2017.09.04
- 生活/生活情報
公明新聞:2017年9月4日(月)付
全市立小中学校の図書館や特別支援学級に配置
埼玉・新座市
知的障がいや発達障がいのある子どもたちにも楽しく本を読んでもらおうと、埼玉県新座市は7月から、写真や絵文字などを多用して分かりやすく書かれた本「LLブック」の導入を、市立の全小中学校で進めている。LLブックは、障がい者だけでなく、高齢者や外国人など幅広い層でも楽しめる本として注目を集めている。公明党市議団(亀田博子団長)はこのほど、LLブックが配置された市立栗原小学校を訪れ、保戸田雅之校長から話を聞いた。
知的障がい児らの学習 応援
LLブックはスウェーデン発祥で、「LL」とは、スウェーデン語で「やさしく読める」との意味の略。知的障がい児や発達障がい児、外国籍で日本語の理解が難しい子どもたちにも易しく、楽しく読書ができるように工夫されている。漢字には振り仮名を付け、文章は単語ごとに分割。絵や写真、ピクトグラムと呼ばれる文章の意味を示す絵文字を組み合わせるなど、内容を分かりやすくし、障がい児を含む子どもへの学習支援や情報提供とともに、障がい者への理解を深め、配慮を促す効果が期待されている。
日本国内では、これまで、アサガオの観察など学習向けの内容や昔話などのLLブックが発刊されている。
文部科学省が昨年、全国の教育委員会に通知した「学校図書館ガイドライン」の中で、学校図書館へのLLブックの配備を推奨していることを受け、市教委は全小中学校に対して、図書館や特別支援学級に配置することを要請。現在、計9校が導入済みで、11月までには全23校で完了する予定だ。
このうち、市立栗原小学校では、地震発生時に子どもたちが素早く避難できるようにと、「地震がきたらどうすればいいの?」と題するLLブックを導入。子どもたちに積極的に読んでもらえるよう呼び掛けている。その上で、保戸田校長は「LLブックを通して、子どもたちが障がい者を理解するきっかけにもなってほしい」と話していた。
公明が提案
公明党市議団は今年4月、安藤友貴県議とともに、市内にある社会福祉法人埼玉福祉会(並木則康理事長)を訪ね、同会がLLブックの普及に取り組んでいる状況を聴取。同6月の定例会一般質問で、亀田団長が子どもたちに幅広いジャンルの本を知ってもらうことへの重要性を強調し、学校図書館や特別支援学級に「LLブック」を導入するよう訴えていた。
亀田団長は「LLブックが学校教育の中で活用され、定着していくことが大事。これからも、障がいの有無にかかわらず、誰もが楽しく生活できる環境づくりに取り組んでいく」と決意を語っていた。