eコラム「北斗七星」
- 2017.09.07
- 情勢/社会
公明新聞:2017年9月7日(木)付
若者がよく使うネット販売は、米学者による調査(日米中など10カ国対象)によると、日本では店で買うより平均13%も安かった。10カ国平均は4%というから、日本の低価格ぶりが際立っている◆通販は利用したことがない知り合いの壮年が、初めてネット購入に踏み切った。品物は子どもが使うコンタクトレンズのケア用品。2~3割引きの特売品を店で買っていたが、子どもから「ネットのまとめ買いならさらに2割引きになる」と言われたからだ◆日本の個人消費に占めるネット販売の割合は、まだ米国の半分以下ともみられている。日本の中高年は「ネットはどうも使い勝手が...」「手にとって確かめてから」といった、多少高くても近くの店でという傾向が強い。これが他の国より価格差が生じる原因の一つらしい◆逆に言えば、ネットの使い勝手がよくなり、店で買ったことがある商品が安く買えるなら、若者でなくてもネットに乗り換えてしまう。小売業界はこうした価格引き下げ圧力にさらされている◆すでに家電量販店では、ネットと実店舗の価格差解消が進む。一方、中小小売店は、対面販売の強みなどを生かし「買い物が楽しめる場づくり」がないと生き残れないと専門家は指摘する。業種により差はあるが、小売店は大きな転換点を迎えている。(辰)