eサラリーマンの年金保険料 13年間の引き上げ完了
- 2017.09.11
- 情勢/解説
公明新聞:2017年9月10日(日)付
給付調整の仕組みとセット
今月から18.30%で固定
財政のさらなる安定へ経済再生、出生増が重要
【問い】サラリーマンなどが加入する厚生年金の保険料率が9月から18.30%に固定されると聞きました。どういうことですか。(群馬県 S・H)
今回の措置は、少子高齢化が進む中で年金財政の安定を図りつつ、現役世代の負担増に一定の歯止めをかけるものです。2004年に公明党が推進した制度改革で保険料率は13.58%から13年間かけて段階的に引き上げられてきましたが、国が決めた上限である18.30%に達した今回で完了し、今後は固定されます。
標準報酬月額が30万円の場合、保険料は5万4900円ですが、半分を事業主が負担するため、本人分は9.15%に当たる2万7450円で固定されます。
公的年金は、現役世代が納める保険料を今の高齢者への給付に充てる"世代間の支え合い"で成り立っており、決められた財源(保険料収入、国庫負担、積立金)の範囲内で給付を賄っています。しかし、現役人口が減り、年金を受け取る高齢者が増える少子高齢社会では、全ての世代が負担を分かち合わなければ年金財政が成り立ちません。
そこで、一定の範囲内で、支える側の保険料率を引き上げるとともに、支えられる側への給付額を調整するなどして、年金財政安定への道筋を付けたのが04年改革です。基礎年金の国庫負担分も、3分の1から2分の1に引き上げることとしました。
給付については、少子高齢化の進展に合わせて給付の伸びを調整する「マクロ経済スライド」を導入。その上で、夫婦2人のモデル世帯の年金額(支給開始時点)が現役世代の平均手取り収入額の何%であるかを示す「所得代替率」を、約100年間にわたり「50%以上」にすることが、法律に明記されています。
積立金は将来、本格的に取り崩していきます。少しでも積立金を増やそうと、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が債券や株式への投資を行っており、16年度実績では「求められる運用利回りを上回っている」状態を維持できています。
公的年金は、5年ごとに財政の健全性を確認する財政検証を行います。直近の14年の検証では、経済が再生し女性や高齢者の労働参加が進むことで、所得代替率50%以上が確保されるとの見通しが示されました。併せて、出生率が上昇すれば、結果的に所得代替率も上がることが分かりました。政府が経済再生や少子化対策を進めることは、こうした観点から見ても重要なのです。