eコラム「北斗七星」

  • 2017.09.12
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年9月12日(火)付



人工衛星「みちびき」3号機を載せたH2Aロケットの打ち上げが成功したのは先月19日。10月には同4号機を投入し、来年度から日本版GPS(全地球測位システム)の本格運用が始まるとのこと◆「みちびき」は日本上空に長くいる「準天頂軌道」を回る。これまでの米国のGPSだけでは10メートルほどの測位誤差が、センチメートルのレベルになり、車の自動運転や無人トラクター、災害時の被災状況の把握や救援活動にも生かされる◆空を見上げて期待を膨らませたのもつかの間。その10日後に北朝鮮が打ち上げた弾道ミサイルが日本上空を横切り、さらに5日後、水爆実験に成功したという。対話の扉を閉ざし、平然と6回目の核実験に及ぶ非道さには、背筋が凍る。進歩した科学技術も、使う人間によって毒にも薬にもなる◆きょうは、25年前に科学技術の粋を集めたスペースシャトルで、毛利衛さんが初めて宇宙へ飛び立った日。地球に帰還して毛利さんは「宇宙から国境は見えなかった。地球は一つ」と◆いま秋風がそよぎ、ふと「淡紅の秋桜が秋の日の......」との詞を乗せた歌が脳裏に流れた。40年前にリリースされた山口百恵の『秋桜』、その花言葉には「愛情」や「調和」「平和」などが並ぶ。宇宙を意味する名のコスモスが咲く季節に、平和への思いを強くする。(三)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ