e可燃ごみから出る"塩" 消毒剤にリサイクル
- 2017.09.20
- エンターテイメント/情報
公明新聞:2017年9月20日(水)付
全国初のシステム 下水処理で有効活用
年間9000万円、コスト削減効果
松山市
可燃ごみの焼却灰に含まれる塩類から殺菌効果のある消毒剤を生成し、下水処理に利用するシステムが、愛媛県松山市で今年4月から稼働している。市内で生成された消毒剤を、同一市内の施設で使用してリサイクルさせる全国初のシステムとして注目されている。循環型社会を推進してきた市議会公明党(丹生谷利和代表)はこのほど、同施設を視察した。
松山市内の一般家庭から出る可燃ごみは、焼却施設で燃やされ、最終的に焼却灰として不燃ごみとともに同市食場町の一般廃棄物最終処分場に埋め立てられている。焼却灰には大量の塩類が含まれており、最終処分場内に降った雨などによってにじみ出る浸出水は、周辺環境の塩害を防ぐため、脱塩処理をして河川に流していた。
近年、状況が悪化することになる。不燃ごみが減少し、埋め立てごみの約9割を焼却灰が占めるようになった結果、塩分濃度が当初予想していた約5倍に達し、脱塩処理能力が著しく低下。このままでは、塩害などの影響が懸念されるため、新たな対策が求められていた。
松山市は、電気分解などによって塩類から殺菌用の消毒剤「次亜塩素酸ナトリウム(エコ次亜)」を生成する設備の採用を検討。昨年3月から1年間の横谷埋立センター内での実証実験を経て、今年4月からリサイクルシステムの運用を開始した。
これまで脱塩処理で排出された大量の塩類は、ボイラーで乾燥させ、県外に搬出処分していたが、塩類を全て消毒剤にリサイクルするメリットは絶大。ボイラーの燃料費や処分費が不要になっただけでなく、下水処理に利用している通常の消毒剤の使用量も減らせるため、「年間約9000万円削減できる見込み」(市清掃施設課の大西昭寿主幹)という。
塩類を消毒剤として生成する「エコ次亜」の生成施設を視察した丹生谷代表は、「最終処分場から発生する塩類の処分は、全国どこの地域でも大きな課題となっている。塩類の処理費用と消毒剤の年間コストが大幅に削減できる一石二鳥の施設」と評価していた。
市清掃施設課の大西主幹は「循環型社会のモデルとして全国にPRしたい」と語っていた。