e年金支給漏れ 再発防げ
- 2017.09.21
- 政治/国会
公明新聞:2017年9月21日(木)付
事務処理 総点検せよ
桝屋、三浦氏 相談窓口の対応手厚く
元公務員の配偶者ら約10万6000人に総額約598億円の年金支給漏れが見つかった事案を受け、衆参厚生労働委員会は20日、閉会中審査を行った。公明党からは衆院で桝屋敬悟氏、参院で三浦信祐氏が質問に立ち、年金制度の信頼回復へ再発防止を訴えるとともに、対象者らの不安解消へ丁寧な対応を求めた。
桝屋氏は今回の事案で、対象でない国民も含めて「年金制度に対する信頼度が揺らいだ」と強調。加藤勝信厚労相は再発防止に取り組む考えを示した。
さらに桝屋氏は「事務処理の誤りなどが他にもないか、この機会に総点検を徹底してするべきだ」と迫った。厚労省側は「事務手順やシステム由来の問題が他にもないか、過去の事例も含めて日本年金機構に点検させる。機構内に対策チームを設置し、年内に調査を終えて必要な対策を実施したい」と答弁した。
また桝屋氏は、専用電話相談窓口の設置など今回の対応にかかる経費の財源をただした。
厚労省側は約7000万円の費用について、年金機構の事務経費を節約して賄うと述べた。
一方、三浦氏は、支給漏れへの対応について丁寧な説明を要求。厚労省側は▽未払い分をおおむね11月15日に支払う▽手続きは不要――などの対応策を説明した。
併せて三浦氏は、電話相談窓口や年金事務所窓口について、現在、年金受給資格期間の短縮に関する事務が行われている中で、今回の事案を受けた問い合わせが殺到していることから「手厚い対応を」と主張。年金機構の水島藤一郎理事長は、専用電話窓口の回線増などのこれまでの取り組みに加えて、さらに態勢を充実させると答えた。
三浦氏は、年金機構と共済組合の情報連携システムの早期改修も訴えた。厚労省側は、来年7月の改修システム稼働へ準備を進めていると答えた。
問題の経緯
厚生年金や共済年金の加入期間が原則20年以上ある受給者が配偶者などを養う場合には「加給年金」が加算されるが、配偶者が65歳になると支給が終了し、代わりに配偶者の基礎年金に「振替加算」として一定額が上乗せされる。今回の支給漏れは、この振替加算で発生した。
日本年金機構と共済組合の連携不足などが主な原因で、支給漏れの96%は夫婦のいずれかが共済年金の受給者だった。
年金機構は昨年秋に問題を把握。振替加算の対象となっている夫婦を総点検した結果、人数・額ともに過去最大となる支給漏れが発覚した。