e「温かい家庭で育って」
- 2017.09.22
- 情勢/解説
公明新聞:2017年9月22日(金)付
特別養子縁組 支援へNPOが講演会
子どもの命と未来守る制度
東京・豊島区
養子を育てる家庭への支援の輪を広げたい―。東京都豊島区でこのほど、NPO法人「特別養子縁組支援グミの会サポート」(安藤茎子理事長)の設立記念講演会が開催された。任意団体として特別養子縁組で親子になった家族を支援してきた「グミの会」がNPOの法人格を取得して新出発する会合に、公明党区議団(島村高彦幹事長)の高橋佳代子、根岸光洋、夫馬三知の各議員も参加した。
主催者ら強調 親との関係、早い時期大事
「特別養子縁組」は、予期せぬ妊娠や経済的事情などで実の親が育てられない子と、血のつながらない親が戸籍上の親子となる仕組み。しかし、普及はなかなか進まず、日本では現在、社会的養護を必要とする子どものうち、約9割が乳児院や児童養護施設で暮らしているのが実態だ。自身も現在18歳となる養子がいる安藤理事長は、「一人でも多くの子に温かい家庭で育ってもらいたい」と強く願い、「グミの会」で養親と養子に寄り添う支援を積極的に行ってきた。
会合では、元児童福祉司で社会福祉士の矢満田篤二さんらが講演。矢満田さんは、自身が中心となってスタートさせた特別養子縁組を前提とした「新生児の里親委託」(赤ちゃん縁組)について説明。生まれてきた赤ちゃんの育児を母親が放棄する背景には、暴行によって望まない妊娠をし、出産せざるを得ない状況になるまで誰にも相談できないケースなど、やむにやまれぬ理由がある場合が多いことに言及。その一方で子宝に恵まれず、他人の赤ちゃんを養子として引き取り、実の親子になることを希望する夫婦が数多くいることを指摘し、「この制度は赤ちゃんの命と未来を守るための制度。親子関係を築くには生後3カ月までの絆が特に大事とされており、子どもをより早い段階で家庭で育てることが何より大切」と強調した。
安藤理事長は、あいさつで「赤ちゃん縁組が充実すれば、赤ちゃんと産んだ女性の人生を守ることができる」と述べ、赤ちゃんの養親をサポートする活動のさらなる推進に意欲を示した。
公明、国と地方で普及後押し
公明党は、特別養子縁組をはじめ、社会的養護を必要とする子どもを家庭的な環境で養育する「家庭養護」「家庭的養護」を拡充する必要性を訴えてきた。2015年8月には、党児童虐待防止・社会的養護検討プロジェクトチーム(PT、国重とおる座長=衆院議員、衆院選予定候補=大阪5区)が、塩崎恭久厚労相(当時)に提出した「子どもの最善の利益に照らした社会的養護の充実についての提言」の中で、特別養子縁組の普及を提案した。
一方、地元の党区議団も夫馬議員が15年12月定例会で、日本の社会的養護が施設養護に偏っている現状を指摘。子どもの健やかな成長と幸福のために里親制度事業の推進を後押ししている。