e28日に衆院解散
- 2017.09.26
- 政治/国会
公明新聞:2017年9月26日(火)付
消費税 使途変更問う
増収分を教育無償化の財源に
信任得て北朝鮮に毅然と対応
安倍首相が表明
安倍晋三首相は25日夕、首相官邸で記者会見し、28日召集の臨時国会冒頭で衆院を解散する意向を表明した。衆院選は「10月10日公示、同22日投開票」の日程となる見通し。安倍首相は2019年10月に予定する消費税率10%への引き上げに伴う増収分の使い道を見直し、教育無償化などに充てる方針を示した上で、「速やかに国民に信を問わなければならない」と説明した。これに先立ち、安倍首相(自民党総裁)は、公明党の山口那津男代表と首相官邸で会談。「少子高齢化や北朝鮮情勢などに対応するためにも政権基盤をしっかり固めたい。大きくこの2点で国民に信を問いたい」と伝え、自公両党首は選挙戦での協力を確認した。
記者会見で首相は、今後の経済政策について、「生産性革命と人づくり革命はアベノミクス最大の勝負だ。国民の支持を得て新しい経済政策パッケージを年内に取りまとめる」と表明。幼児教育無償化といった子育て支援や介護の受け皿整備などを充実させ、「子育てと介護の現役世代が直面する大きな不安の解消に政策資源を投入することで、わが国の社会保障制度を『全世代型』へと転換する」と述べた。そのために必要な2兆円規模の財源確保に向けては、消費税率引き上げによる増収分を充てる考えを示した。
北朝鮮問題への対応については、「信任を得て、国際社会と共に毅然とした対応を取る」と強調。北朝鮮の脅威が高まる段階での解散になるとの指摘に対し「民主主義の原点である選挙が北朝鮮の脅しによって左右されることがあってはならない」と語った。
その上で、今回の解散を「国難突破解散」と位置付け、日本の少子高齢化や北朝鮮問題など「国民と国難を乗り越えるため、国民の声を聴かなければならない。私自身への信任を問うことになる」と力説した。
首相は衆院選の勝敗ラインについて、自民、公明両党合わせて過半数の233議席とする考えを表明。「与党で過半数を取れなければ辞任する」と述べた。
衆院解散は14年11月以来、約2年10カ月ぶり。衆院選には「1票の格差」是正のため先の通常国会で成立した改正公職選挙法が初めて適用され、定数は10減の465と戦後最少になる。
安倍首相の記者会見(要旨)
一、生産性革命と人づくり革命はアベノミクス最大の勝負だ。国民の支持を得て新しい経済政策パッケージを年内に取りまとめる。2020年度までの3年間を「生産性革命 集中投資期間」と位置付ける。
一、意欲があれば大学などに進学できる社会へと改革する。真に必要な子どもたちに限って高等教育の無償化を実現する。授業料の減免措置の拡充と併せ、給付型奨学金の支給額を大幅に増やす。リカレント教育を抜本的に拡充する。大学改革も強力に進めていく。
一、幼児教育の無償化は、20年度までに3歳から5歳までの全ての子どもたちの費用を無償化する。0歳から2歳も低所得世帯で全面的に無償化する。待機児童解消へ20年度までに32万人分の受け皿を整備する。
一、介護の受け皿整備、介護人材の処遇を改善し、子育てと介護の現役世代が直面する不安解消に大胆に政策資源を投入することで、社会保障制度を全世代型へと大きく転換する。
一、2兆円規模の新たな政策を実施し大改革を成し遂げる。安定財源として消費税率10%への引き上げを活用する。消費税の使い道を変えたい。子育て世代への投資と社会保障の安定化にバランスよく充当し、併せて財政再建も確実に実現する。20年度の財政黒字化は困難となるが、財政再建の旗は降ろさず、目標は堅持する。
一、国民との約束を変更し、重い決断を行う以上、速やかに国民の信を問う。28日に衆院を解散する。
一、北朝鮮問題では、政府として危機管理に全力を尽くし、国民の生命と財産を守り抜く。民主主義の原点である選挙が北朝鮮の脅しによって左右されてはならない。選挙で国民から信任を得て力強い外交を進めていく。国際社会と共に毅然とした対応を取る。
一、森友学園への国有地売却、加計学園の獣医学部新設については、丁寧に説明する努力を重ねてきた。その考えは変わらない。
一、今回の解散は「国難突破解散」だ。国民と国難を乗り越えるため、国民の声を聴かなければならない。私自身への信任を問うことになる。
2兆円規模の政策 年内に"財政健全化の旗"降ろさず
安倍晋三首相は25日の経済財政諮問会議で、衆院選公約の目玉となる「人づくり革命」に向けて、幼児教育無償化や高等教育の充実などを柱とする2兆円規模の新たな政策を年内に策定すると述べた。消費税率10%への引き上げに伴う税収増の使途見直しなどを通じて財源を捻出する。
19年10月の消費税率10%への引き上げによる増収分は、社会保障の充実と財政健全化のために使われることになっていた。
首相は、人づくり革命について「1億総活躍社会をつくり上げる上での本丸だ」と強調。さらに20年度までの3年間を賃上げや投資を加速する「生産性革命」の集中期間と位置付けた。
茂木敏充経済再生担当相は記者会見で「2%(増税分)のうち、半分程度を充てると2兆円近い財源が生まれる」と説明した。20年度に国・地方の基礎的財政収支の黒字化をめざす財政健全化目標については「達成時期に影響が出る」としながらも、「黒字化をめざすという旗を降ろすことはない」と強調した。