e糖尿病1000万人  深刻な事態、生活改善どう促すか

  • 2017.09.26
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年9月26日(火)付



糖尿病が強く疑われる人が2016年に推計で1000万人に上ったことが、厚生労働省の調査で明らかになった。これは、成人約1万1000人の血糖値や治療歴などを分析・算出したものだ。

糖尿病患者の推計は4~5年ごとに実施しており、高齢化などを背景に初の1000万人の大台に乗った。この数字の重さを深刻に受け止め、官民挙げた対策を進めていきたい。

"国民病"と言われる糖尿病は血糖値が異常に高くなる病気だ。放置すると腎不全を発症して透析治療に至ったり、失明や脳卒中などを引き起こし、生活に重大な支障を生じさせる恐れがある。

言うまでもなく、糖尿病の悪化を防ぐには、定期的な健康診断の受診と、日々の生活習慣の見直しが第一である。主に中高年以降の発症が多いが、予防には若年時からの生活習慣が大切だ。栄養バランスの良い食事や適度な運動――これらの継続的な実践が望ましい。一人一人の健康管理こそ最重要である。

生活改善を促す自治体の取り組みにも注目したい。

例えば埼玉県では、市町村が主体となり、糖尿病が悪化する恐れのある人に対し、医療機関を受診していない場合は受診を呼び掛け、通院中の人には、かかりつけ医と連携して食事や運動など生活習慣の見直しを指導している。

その結果、受診者の増加や血糖状態の数値改善など効果が見られた。国は同県の施策を全国に展開中だ。今後の広がりに期待したい。

今回の厚労省の調査で、糖尿病の可能性が否定できない「予備軍」が、07年をピークに減少傾向にあることが判明した。08年度からスタートした特定健康診査(メタボ健診)などが背景にあると見られ、受診勧奨の重要性が証明されたとも言えるだろう。

その一方で、糖尿病の疑いが強くても約4人に1人が治療を受けていない現状も分かった。重篤な疾患につながる危険性の啓発に、力を入れすぎるということはない。

不規則な生活の原因が、長時間労働といった職場環境による場合も多い。この点、企業の「働き方改革」を進める必要性を、あらためて強調しておきたい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ