e衆院解散表明 消費税、使途変更の意義大きい
- 2017.09.27
- 情勢/解説
公明新聞:2017年9月27日(水)付
安倍晋三首相が、28日に衆院を解散すると表明した。理由として、2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げに伴う増収分の使い道を見直すことを挙げた。
消費税率を8%から10%に引き上げると、5兆円強の税収増となる。その使い道は5分の1を社会保障の充実に、5分の4は国の借金の返済に充てることになっているが、これを変更するということだから極めて重い決断である。
なぜ増収分の使途変更が必要なのか。
首相は「子育て、介護。現役世代が直面するこの二つの大きな不安の解消に大胆に政策資源を投入する」として、この政策実行に必要な2兆円規模の財源確保のためであると説明。この点について国民の信を問うため衆院を解散するとの考えを示した。公明党の山口那津男代表は「了とする」と述べた。
首相が示した社会保障の強化方針のうち、とりわけ注目されるのは、幼児教育や高等教育の無償化など、教育費負担の軽減を一層進める考えを明らかにしたことだ。
国立社会保障・人口問題研究所が、18歳以上50歳未満の既婚女性を対象に行った調査では、親が希望する子どもの数が理想を下回る理由として「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が56.3%と最も多かった。
今回の使途変更は、教育費負担の軽減を求める子育て世代の切実な声に応えたものといえよう。同時に、少子高齢化が進む日本の国の将来にも大きく関わる決断である。
12年に自民、公明、民主の3党が合意した社会保障と税の一体改革の中で、公明党は年金、医療、介護に加え、子育て支援の充実を主張してきた。今回、首相が表明した増収分の使途変更について、山口代表が「党の大きな方針と異なることはない」と述べた理由はここにある。
20年度の財政健全化は困難となるが、財政再建の旗を降ろしてはならない。
公明党は現在、国づくりの基本は人づくりであるとして、0~5歳児を対象にした幼児教育の無償化、私立高校授業料の実質無償化、給付型奨学金の拡充などの実現をめざしている。総選挙では、この点を強く訴えていきたい。