e九州北部豪雨3カ月 インタビュー
- 2017.10.05
- 情勢/気象
公明新聞:2017年10月5日(木)付
地域一体で防災対策
「回復力」高める支援に期待
九州大学名誉教授 小松利光氏
福岡、大分の両県に大きな爪痕を残し、"数十年に一度"の災害と言われた九州北部豪雨から3カ月。今後、このような未曽有の災害に私たちはどう向き合っていけばよいのか。防災・減災の専門家である小松利光・九州大学名誉教授に聞いた。
災害の"転換期"
今回の九州北部豪雨は、短時間のうちに大量の雨が非常に狭い範囲に集中した。そのため、山間部では斜面がもたず、流木や土砂が河川に流れ込むなど、被災地に大きな打撃を与えた。
近年、このような豪雨が増え、これまでの災害を想定した対策では、国民の生命と財産を守ることが困難になっている。まさに、災害の"転換期"にきているのではないか。防災・減災対策の考え方も変わらざるを得ないだろう。
重要な自助・共助
想定を超える災害に見舞われた場合、河川の改修などハード面の対策には限界がある。自分の命を守るための「自助」、地域で防災・減災に取り組む「共助」が重要になる。
例えば、香川県丸亀市の川西地区自主防災会では、地元企業と連携を進め、高齢者の避難支援や、緊急時の避難所として企業のオフィスビルを住民に開放するなどの取り決めをしている。また、夜間の避難訓練や、学校での防災教育などを行い、地域の防災力の向上をめざしている。こうした、地域が一体となった防災・減災への取り組みが必要ではないか。
公明党の「実行力」
災害時の損失をゼロにすることは不可能だ。そのため、災害からのレジリエンス(回復力)をどう高めていくかが大切である。住宅の再建や、農地の復旧など経済的な支援の幅を広げれば、住民が希望を持てるようになり、復興への力になる。
公明党は、国会議員と地方議員のネットワークを生かし、発災当初から現場の状況をいち早くキャッチし、被災者の声に耳を傾けてきたと感じている。また、政権与党の一員として政策や支援の強化を推進する「実行力」がある。
その力を生かし、被災地の復旧・復興、国民の命を守るための政治を進めていってくれると期待している。
こまつ・としみつ
1948年、大分県津久見市生まれ。工学博士。土木学会・九州北部豪雨災害調査団の顧問を務める。