e文字・活字文化の日 "情報の洪水"に流されないために
- 2017.10.27
- 情勢/解説
公明新聞:2017年10月27日(金)付
言葉は人をつくり、人生を豊かにする。
きょう27日は「文字・活字文化の日」。11月9日まで続く「読書週間」の初日でもある。良書との触れ合いを増やすきっかけとしたい。
「書物の中には過去一切の精神が籠っている」とは19世紀の英国の思想家、トーマス・カーライルの箴言である。
一冊の本をひもとけば、そこに世界があり、人生がある。光と音の一切を失うという逆境を乗り越えたヘレン・ケラーや、ナチスの手が迫る中でも希望を失わなかったアンネ・フランクが時空を超えて私たちに語り掛けてくれる。
活字離れが指摘されて久しいが、現代はインターネットの普及などで、文字を含む大量の情報が瞬時に共有されるようになった。
インターネットで注意したいのは、刹那的・感情的な傾向だ。フェイスブックなどへの書き込みを契機に実現した中東の民主化革命「アラブの春」が長続きせず、程なく混迷に至ったことは歴史の教訓と言えまいか。真偽が不確かな情報も少なくない。センセーショナルな作り話を真実のように喧伝するフェイクニュースは、その最たる例だ。
短文でやりとりするツイッターやLINEも普及している。その分、長い文章を読み書きする機会は減っていないだろうか。勢いを増すばかりの"情報の洪水"に流されてはいないか。
この点、古今の名著に親しむ意義は大きい。時代や社会の羅針盤として、選び抜かれた一文字一文字が放つ存在感は、いや増している。
活字文化の担い手である書店や図書館は、読書の魅力発信に知恵を絞っている。職場体験で中学生を受け入れる書店や、小学校に出向いて児童文学者らが厳選した本を紹介し、読む楽しさを伝える図書館はその一例だ。あらゆる機会を通じ読書の素晴らしさを次世代へと伝えていきたい。
公明党の推進もあり、「朝の読書運動」に取り組む小中高校は2万7000校を超え、自分が薦めたい本の魅力をアピールし合う「ビブリオバトル」も全国の図書館で着実に広がりを見せている。公明党はこれからも、人生と社会に彩りを与える文字・活字文化の振興に努めていく決意だ。