e日比首脳会談 対北朝鮮で両国の協力不可欠
- 2017.11.01
- 情勢/気象
公明新聞:2017年11月1日(水)付
対北朝鮮制裁の実効性を高めるには、フィリピンの協力が欠かせない。
安倍晋三首相は先月30日、フィリピンのドゥテルテ大統領と会談し、北朝鮮の核・ミサイル問題、拉致問題の早期解決に向けた対応で協力していくことを確認した。
とりわけ、国連安全保障理事会(安保理)で採択された北朝鮮に対する制裁決議の厳格な履行が重要であるとの認識で、両首脳が一致した意義は大きい。
北朝鮮にとって、フィリピンは主要な貿易相手国の一つである。世界各国の貿易統計から北朝鮮の貿易動向を分析している大韓貿易投資振興公社(KOTRA)によると、2016年の北朝鮮とフィリピンの貿易額は約4497万ドル(約48億4900万円)。中国、ロシア、インド、タイに次いで5番目の規模だ。
フィリピンから北朝鮮に輸出している製品の6割はコンピューターと集積回路(IC)であることから、これらが核・ミサイル開発に転用されているのではないかとの懸念も指摘されている。
ドゥテルテ大統領の指示で、フィリピンは9月8日に北朝鮮との貿易停止を表明した。引き続き、安保理の制裁決議を確実に実施してほしい。
フィリピンは、今月13、14両日に開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議の議長国でもある。
ASEANに加盟する10カ国は全て北朝鮮と国交があり、外交姿勢も北朝鮮に融和的だ。安保理の制裁決議に対する関心も低い。16年以降に採択された五つの安保理決議について、タイ、カンボジア、東チモール、ラオスの4カ国は履行状況をまとめた報告書を国連に提出していない。マレーシアとフィリピンは、16年以降、報告書を提出したのは1度だけだ。
それだけに、今回の日比首脳会談を踏まえ、ASEAN関連の首脳会議でフィリピンが議長国として、率先して安保理決議を厳格に履行する姿勢を示し、ASEAN加盟国にも決議の順守を働き掛けてもらいたい。
拉致問題の早期解決でも、日比が連携を深めていくことをきっかけに、北朝鮮への圧力の強化で協力する国を増やしていきたい。