eコラム「北斗七星」

  • 2017.11.06
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年11月3日(金)付



東京都内でメッキ工場を営む島津は言い放つ。「世の中はみんな金メッキだぞ。人間だって」◆かつての同級生、高木は「でも、はげるだろ、いつか」と言葉を返すが、島津は「そしたら、また、メッキすればいい」といなす。作家・嵐山光三郎氏の短編を集めた「同窓会」(講談社)に出てくる一場面である◆先の衆院選後初めての国会が始まった。召集日には衆参両院の首相指名選挙の模様がテレビでも伝えられた。衆院本会議場の野党議員席には、政党の離合集散をかいくぐってきた面々が並んだ。その顔ぶれを眺めていて、衆院から姿を消したはずの民進党の同窓会か、と見まがったのは北斗子だけではあるまい◆「共通の政治的原理を持つ者によって組織される」。近代的政党論の論客エドマンド・バークは政党をこう定義した。しかし、衆院選では多くの野党議員が政治的原理をかなぐり捨てて、新党に身を寄せた。政党とは何かが改めて問われ、国民の政治不信が募ったのは間違いないだろう◆この国会は、政党政治への信頼を取り戻す機会とすべく、与野党の責任は重い。特に、新党は自公連立政権との対立軸をしっかり示し、言論の府の一員としての役割を果たせるか、最初の試金石となろう。メッキのはがれた政党の末路は、もうこれ以上見たくない。(明)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ