e小学6年生から生活習慣病予防
- 2017.11.17
- 生活/生活情報
公明新聞:2017年11月17日(金)付
モデル校で医師ら出前授業
3D映像や血管模型を活用
静岡県
子どもの頃から健康的な生活への意識を高めようと、静岡県は公立小学校のモデル校(4校)で6年生を対象に、「生活習慣病予防のための出前授業」を9月から始めた。全国でも珍しい試みで、3D映像や血管模型を使った解説などが児童に好評だ。県は今年度中に全小学校で同様の授業を行えるよう体制を整える予定。学校現場での生活習慣病の啓発を推進してきた公明党の前林孝一良、盛月寿美の両県議はこのほど、モデル校の掛川市立桜木小学校を訪ね、児童と共に出前授業を受けた。
「『命』という漢字は『人』という字の下に『叩く』という字が書かれているね。これは何を叩いているか分かるかな?」。授業の講師を務める医師の質問に、「鼓動!」「人生!」など、思い思いの答えが矢継ぎ早に返ってきた。なじみのある漢字などを用いて質問を投げ掛けながら、医師は徐々に児童の興味を引き出していく。
3D映像で血管や骨格だけでできた人体模型を教室内に浮かび上がるように映し出すと、児童は大盛り上がり。ヒトの体の構造や、指先まで網の目のように張り巡らされた血管を可視化することで、自分の体と健康への関心を持ってもらうことが狙いだ。
さらに、大きなこぶ(血栓)ができた血管の模型を一人一人が直接触る。心臓や脳の血管が硬くなったり詰まったりする病気があり、食事の内容や摂取時間、運動不足、喫煙などの生活習慣によって引き起こされることを丁寧に解説した。
このほか、同じ生活習慣病でも静岡県の東・中・西部の各地域によって高血圧や糖尿病などの発症数がそれぞれ違い、長年の食習慣が影響していることを地図やイラストで説明。健康と食事の密接なつながりを強調した。
最後に、運動担当の講師が登場し、「日常生活での適度な運動で生活習慣病は予防できる」と説明。基本動作と自分の好きな動作を組み合わせ、音楽に乗って体を動かす「自分なり体操」を紹介し、児童は、サッカーボールを蹴るような動作など、その場で考えた体操を交え実践した。
教師用DVD作成 全小学校実施へ
出前授業は全2回。児童は最初の授業で、食事や運動など健康に関する目標を決め、「チャレンジシート」に記入。これに12日間にわたって挑戦し、学んだことを家族とも共有して2回目の授業でさらに理解を深めていく。
出前授業の教材は、東京大学政策ビジョン研究センターなどと連携して開発。講師は同センター所属の医師らが務める。
県は今後、授業内容をまとめたDVDなどを作成。今年度中に全小学校に配布し、6年生の保健体育の授業で学習できるよう準備する。
公明党県議団は議会質問や予算要望を通じて、児童が学校現場で生活習慣病について学び、健康管理できるようにする重要性を訴えてきた。