e地方議会の可能性 少子高齢化へ住民の知恵活用を
- 2017.11.20
- 情勢/解説
公明新聞:2017年11月20日(月)付
「人口減少社会における地方自治制度のあり方」―これは政府がきょう都内で開催する地方自治法施行70周年の記念シンポジウムで議論されるテーマだ。
少子高齢化への対策は地方自治体の重要課題である。しかし、自助、共助、公助のあり方一つを取っても、地域の特性に応じた柔軟な工夫が欠かせない。地方自治体の力量が問われている。
その中で今、各地の地方議会が新たな可能性を開こうと努力をしている。議会をより住民に身近な存在にすること、さらに、住民の知恵を政策立案とその実行に生かそうという試みである。
少子高齢化の対策を実効性ある内容にするためには、住民の自主的な取り組みと行政への積極的な協力の双方が必要になる。住民と行政をつなぐ役割を議会がしっかり担わなければならない。
身近な議会をめざす方法には、"傍聴しやすい議会"として「夜間議会」「休日議会」の開催や、ケーブルテレビやインターネットによる審議中継がある。
「出前議会」「出張議会」にも注目したい。議員個人が開く議会報告会ではなく、議会として地域に出向いて住民と語り合う場だ。審議をした議員から直接、説明を受けたり質問もできる。議会での発言内容だけでなく、現地調査や他の自治体への視察で分かった事実なども聞けるため、参加者は論点をより深く理解することができる。
さらに、請願や陳情を審査する時、参考人として提出者本人から趣旨説明を求めている議会もある。これは、住民や利害関係者、有識者から意見を聞くために地方自治法が定めている参考人制度を積極的に活用した例である。
住民が地域の課題を深く知ることで「解決に向け主体的に行動しよう」との意識が芽生えることも期待できる。
過疎の自治体では住民が自主的に団体を作って高齢者支援のために声掛け・見守り、買い物支援などをしている所がある。人口減少社会ではこうした共助の広がりが必要であり、住民の意識啓発は重要だ。住民の知恵と主体性を丁寧に掘り起こし、行政に反映させる仕組みを議会の努力で構築してほしい。