e山口代表の参院代表質問(要旨)
- 2017.11.24
- 情勢/解説
公明新聞:2017年11月23日(木)付
人づくり革命
学び直しへ助成拡充すべき
第4次安倍内閣が発足しました。先の衆院選において、自民・公明の連立政権による安定した政治基盤の下での、確かな実行力・実現力を評価していただいたものと確信しています。引き続きの政権運営に当たり、謙虚に、決しておごることなく、日々、真摯に国民との対話に努めながら、さらに政策を磨き、待ったなしである内外の諸課題の解決に全力を挙げる決意です。
先進国の中でも群を抜いて高齢化が進むわが国が、さらに寿命を伸ばし、約半数の人が100歳まで生きる可能性がある時代が来る―。めざすべきは、自分らしく元気に生き生きと過ごしながら年を重ねる社会の実現であり、そのために将来世代に対し何を残していけるのか、私は今を生きるわれわれ世代の責任を強く感じています。
「人生100年時代」への挑戦、それは、本格的な少子高齢化・人口減少社会への挑戦です。首相は"国難"と称されましたが、社会保障や教育、雇用など現在の社会システムの大転換、若者から高齢者まで誰もが安心できる「全世代型の社会保障」へのシフトチェンジ(軌道修正)は、避けては通れません。
その重要なカギが、「人づくり革命」です。これまでも政府・与党を挙げて、人への投資に力を入れてきましたが、さらに前へ進め、年齢にも、経済的事情にも左右されない、希望に応じて学び働ける社会の実現こそが、わが国がとるべき道であると考えます。
"すべての人が輝く"社会の実現に向けて、特に、制度と制度のはざまに陥り社会的に孤立している方、さまざまな理由でスタートラインにすら立てない方に対して最も温かな手を差し伸べるべきと、強く申し上げておきたいと思います。
新しい経済政策パッケージ
首相は、「『少子高齢化』という最大の壁に立ち向かい、『生産性革命』と『人づくり革命』を断行するため、新しい経済政策パッケージを12月上旬に取りまとめる」とし、併せて「『人づくり革命』を力強く進めていくため、消費税率10%への引き上げに伴う増収分などを活用した2兆円規模の政策を取りまとめる」としています。
消費税の増収分の子育てや教育などへの活用は、消費税の使途として分類されている4経費の中の「少子化対策」を拡充するものとして、社会保障と税の一体改革の趣旨に沿うものであると考えます。一方、消費税の使い道の見直しによって、財政健全化の旗を降ろすものではありません。当初の目標の2020年プライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化達成は困難とのことですが、できる限り早く健全化への道筋を示すべきです。
子ども・子育て支援
「すべての子どもたちの笑顔が輝く社会」へ―。公明党は衆院選において、経済的な事情に関係なく、希望すれば誰もが必要な教育を受けられる社会の構築に向け、"人への投資が未来を開く"との考え方の下、幼児教育から大学までの大胆な「教育費の無償化」を主張しました。
これまでにも、一体改革で消費税の使い道に「子育て支援」が追加され、子ども・子育て支援新制度がスタートし、保育所や幼稚園などの幼児教育の無償化も、お子さんの多い世帯や所得の少ない世帯などについて段階的に進めてきました。
しかし待機児童については、政権発足以降、解消に向けて約53万人分の保育の受け皿を確保してきましたが、女性の社会進出が進む中、なかなか実現には至っていません。政府は、「子育て安心プラン」をさらに前倒して実施し、企業主導型保育など多様な保育の受け皿を早急に確保するとともに、それを支える人材の確保や質の向上にも取り組むべきです。併せて、放課後児童クラブの新たな整備などを盛り込んだ「放課後子ども総合プラン」の前倒しも進めるべきと考えます。
今こそ、待機児童解消と幼児教育無償化を一気に進めてまいりましょう。
大学の奨学金拡充
長年、公明党が訴えてきた返還不要の給付型奨学金が、今年度から先行実施されています。来年度からの本格実施に万全を期すとともに、さらに給付型奨学金の対象者や給付額を拡充し、授業料減免、無利子奨学金も含め、経済的な負担軽減策を大きく進めるべきです。その際、多子世帯などにも配慮した制度設計を検討すべきです。
高齢者の活躍後押し
学び直しができる環境整備も重要です。AI(人工知能)やIT(情報技術)など技術革新が急速に進む時代。実社会のニーズは日々変化しています。誰でも希望に応じて学び直しができ、必要なスキル(技能)を身に付けられるよう職業訓練・リカレント教育など、必要な公的助成を含め大幅に拡充すべきです。
併せて、身に付けた新たなスキルを存分に活用できるよう転職者の受け入れや元気な高齢者の活躍など、転職・再就職の環境整備を進めるとともに、副業や起業への後押しも重要です。
経済再生
成長と分配の好循環さらに
政権交代以来、安倍内閣が最優先で取り組んできたのが、経済再生です。
金融政策、財政政策、成長戦略という「3本の矢」によって、デフレからの脱却と持続的な経済成長を支える基盤をつくるとともに、地域に新たな人の流れをつくる「地方創生」をはじめ、子育て支援や社会保障を強化する「新3本の矢」による「一億総活躍社会」の実現、そして、これらを横断的に支える「働き方改革」など、わが国の構造的な課題である人口減少や少子高齢化への対応も積極的に進めてきました。
その結果、この5年間で名目GDP(国内総生産)は50兆円増加。足元の経済成長も7四半期連続でプラスが続き、政府などの調査でも、すべての地域で拡大・回復の傾向が続いています。雇用も大きく改善。昨年6月にはパートを含む有効求人倍率がすべての都道府県で1倍を超え、現在、全国ベースでは、1.52倍まで改善しました。さらに今年6月には、全国ベースの正社員のみの有効求人倍率が統計開始以来、初めて1倍を超えました。中小企業を含めて2%程度の高い賃上げと最低賃金の大幅な引き上げが4年連続で実現しています。
私は、一貫して「成長と分配の好循環」を訴えてきましたが、好循環が回り始めました。政府一体となって、より確かに、より深化させるよう強く求めたい。
確実な賃上げに向けて
何より重要なのは、家計所得を増やす、さらなる賃上げです。首相は、経済界に3%の賃上げを要請しました。過去最大の営業利益が見込まれる中で、賃上げの余地は十分にあり、企業の一層の努力を期待したい。その上で、地方版政労使会議を活用するとともに、政府においては、企業業績の拡大を着実に賃上げや設備投資へとつなげる予算・税制上の取り組みが求められます。特に、中小企業の賃上げへ、所得拡大促進税制の拡充などの支援強化を強く求めます。
人手不足対策
首相は、「2020年までの3年間を『生産性革命・集中投資期間』として、大胆な税制、予算、規制改革などあらゆる施策を総動員する」としています。「生産性革命」については、集中的に大胆に実行し、確実な成果を出していただきたい。
特に深刻なのは、中小・小規模事業者の人手不足、そして、後継者問題です。
景気拡大に伴う労働需給の逼迫だけでなく、少子高齢化を見据えれば、まさしく"構造問題"であり、中長期にわたって企業の稼ぐ力を強くする生産性の向上が重要です。
具体的には、中小企業等経営強化法に基づく研究開発や設備投資への支援、IT・IoT(モノのインターネット)、ロボット・AIなどの導入・活用の支援を大きく進めるべきです。「ものづくり補助金」は、中小・小規模事業者の経営力向上に欠かせない支援策であり、確実な継続・拡充を求めます。
また、下請取引の適正化に向け、業界団体による自主行動計画の策定と着実な実行とこれらのフォローアップの実施、長時間労働につながる商慣行の是正などに取り組むべきです。
建設や物流分野の生産性向上も急務の課題です。建設現場でICT(情報通信技術)を活用する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」、トラック業界の荷待ち時間・荷役時間を削減する「物流生産性革命」などを加速すべきです。
事業承継問題
「会社は黒字だが、後継者がいないので廃業する」―そうした企業が急増しています。中小・小規模事業者の経営者の高齢化が進み、今後10年の間に、多くの経営者の引退が見込まれる中で、その約半数の127万を超える事業者で後継者が未定という衝撃的な試算もあります。このまま放置すれば単に一事業者の問題だけにとどまらず、日本全体の経済や雇用、さらにはものづくりや技術の継承などにも深刻な影響を及ぼしかねない重大な事態と捉えるべきです。
こうした事態を打開するため、今こそ、事業承継税制の抜本的な拡充を図るべきです。具体的には、株式の贈与税・相続税について、現行の要件である雇用維持条件のさらなる緩和、対象株式総数制限の撤廃、納税猶予割合100%への引き上げなど、思い切った税制改正を講じるべきであると強く申し上げたい。
併せて、早期・計画的な事業承継を促進するための"気付き"の機会の提供と、「事業引継ぎ支援センター」を通じたプッシュ型の支援などで、現在年間500件程度にとどまっている事業承継をケタ違いに増やせるよう、抜本的な対策を求めます。
防災・減災、復興
九州豪雨 台風被害 復旧へ補正予算を
今年も、大型の台風が日本列島を襲いました。政府は、九州北部豪雨、台風21号などの大規模災害からの復旧、さらには昨年の熊本地震からの復興に向け、補正予算を含め適切に対応されるよう強く要請します。
近年、雨の降り方が局地化・集中化・激甚化しています。「災害に強い国づくり」は喫緊の課題です。
公明党は、国民の命と生活を守ることが政治の最優先課題との認識に立ち、「防災・減災ニューディール」を提唱し推進してきました。単に災害が起きた時の復旧にとどまるのではなく、災害を教訓として、さまざまな大規模自然災害のリスクを踏まえた予防型の防災・減災対策を大きく前進させていくべきです。
地域における防災対策も重要です。公明党は、大震災を教訓に女性の視点が欠けている事例を指摘しながら、地方自治体における防災対策の改善に取り組んできました。女性は防災の主体的な担い手です。地域の防災力向上のため、第4次男女共同参画基本計画を踏まえ、各自治体の防災会議での女性の割合を着実に増やすなどの取り組みを進めるべきです。
東日本大震災から6年8カ月
東日本大震災の発災から6年と8カ月がたちました。被災地では、公共インフラや災害公営住宅の整備など、復興が着実に進む一方で、いまだ約8万人の方々が避難生活を強いられ、約4万人の方々が仮設住宅での生活を余儀なくされています。
復興の進展に伴い、被災者・被災地のニーズは多様化・複雑化しています。政府には、引き続き、被災者・被災地に寄り添った、よりきめ細かな支援を強く求めたい。
被災地における産業、生業の再生は着実に進んでいるものの、依然として根強いのが"風評被害"です。世界で最も厳しいとされる安全検査を実施している農産物だけでなく、東北の観光業も全国的に急増するインバウンド(訪日外国人客)の効果を享受し切れていない現実があります。
政府の「風評対策強化指針」に基づいた対策を抜本的に強化し、特に正確な情報提供を通じて、国内外の誤解、偏見、思い込みの払拭に努めていただきたい。
福島イノベーション・コースト構想
公明党は、福島県浜通り地域の魅力ある復興を果たしていくため、「福島イノベーション・コースト構想」を力強く推進してきました。
現在、この構想の軸となるロボット産業では、物流やインフラ点検、災害対応に活用されるロボットの一大拠点となる「福島ロボットテストフィールド」の整備が進められています。2020年にはロボット国際大会のインフラ・災害対応分野の競技がこのフィールドで開催される予定です。
「まち・ひと・しごと」―これがそろわずして、福島再生の実現はありません。その決定打となり、さらには日本経済全体の成長につなげるという、夢と希望のプロジェクト。これが「福島イノベーション・コースト構想」です。
今年5月には、改正福島復興再生特別措置法が成立し、同構想が法定化されました。福島再生の実現に向けて、今後も国が十分に関与し責任を持って取り組むことを強く求めます。
社会保障
医療、介護でICT活用へ
地域包括ケアシステム
現在、2025年をめどに、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、地域の特性に応じた、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みが始まっています。
来年度は6年に一度の診療報酬・介護報酬同時改定を迎えます。医療と介護の連携強化、医療機能の分化・連携を一層推進し、地域医療構想の実現や地域包括ケアシステムの構築を強力に推し進めるチャンスであり、診療報酬・介護報酬の両面から一体的な対応を図るべきです。
また、医療や介護現場でのICT活用に関心が高まっています。医療と介護の連携強化につながり、結果、従事者の負担軽減も可能となるものであり、強く推し進めるべきです。
介護人材の確保、処遇改善
介護人材の確保も重要な課題です。
本年度から技能や経験に応じて昇給する仕組みを構築し、月額平均1万円相当の処遇改善を行うなどさまざまな取り組みを進めていますが、今なお、他業種との賃金格差は歴然であり、一層の取り組みが欠かせません。25年に約38万人不足すると予想される介護人材の確保に万全を期すため、より一層の処遇改善を進めるべきです。とともに、業務負担の軽減や労働環境の改善なども促進すべきです。
認知症対策
25年には認知症高齢者が約700万人に増加するとされる中、認知症対策の推進は最重要課題です。何よりも当事者の意思を大切にし、家族も含めて寄り添っていくとの姿勢に基づく政府一体での総合的な対策が求められます。
具体的に3点申し上げたい。
認知症の研究開発費が十分ではなく、万全な対策を検討し実行に移すためにも大きく拡充すべきです。
また、「認知症初期集中支援チーム」が18年度からすべての市町村で立ち上がりますが、医療・介護人材の確保など万全な支援策を講じるべきです。さらには、「若年性認知症」など、これまで十分に取り込まれてこなかった課題にも踏み込むべきです。
外交政策
拉致問題解決に全力挙げよ
日米関係
米国のトランプ大統領がアジアを初歴訪、最初に日本を訪問しました。日米両首脳がこれまで重ねてきた信頼関係の上に、北朝鮮情勢や経済分野などで率直に意見を交わし、強固な日米同盟の絆を内外に示したことは大変有意義であったと思います。日米首脳会談の意義について伺います。
北朝鮮情勢
北朝鮮情勢は、わが国のみならず東アジア、世界にとっての最大の懸念です。
北朝鮮は、国際社会の強い非難と警告を完全に無視し、核実験や日本の上空を飛び越えた事案を含む多くの弾道ミサイル発射を試み、核・弾道ミサイル開発能力を急速に進展させています。繰り返される北朝鮮の暴挙に対し、政府のみならず、与野党の垣根を越え立法府も共に、断固たる姿勢で対処することが大切です。
また、この暴挙を止めるには、国際社会が連携と連帯を深めることが不可欠です。国際社会が一致して、一連の国連安全保障理事会決議に基づく制裁の実効性を具体的に高めていくことが重要であり、今は北朝鮮に対して圧力をかける時です。その上で、核・弾道ミサイル開発を断念させ、対話による解決へつなげるべきです。
今般の日米首脳会談のみならず、首相のアジア訪問の中で、中国やロシアなどの首脳との会談を通じて、改めてこうした方向性が確認されたことは、大きな意義を持つものです。
また、トランプ大統領と拉致被害者ご家族との面会が実現しました。引き続き、拉致問題解決に全力を挙げるよう強く要請します。
持続可能な社会をめざした平和外交
貧困や飢餓などの脅威から人々を守る「人間の安全保障」の理念に立脚した「持続可能な開発目標」、SDGsがスタートして間もなく3年。SDGsは、先のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳宣言の中でも「2030アジェンダ」に沿った取り組みの促進が合意されるなど広く国際社会に浸透しつつあります。
本来SDGsは、政府はもちろん、企業、市民社会を含めた地球規模での行動を要請しています。しかし残念ながら、国民の認知度はまだ低いのが現状です。まずは、19年の首脳級のフォローアップ会合をめざし、日本が地球的な脅威から人々を守る取り組みを強くリードしていくべきではないでしょうか。
核廃絶の取り組み粘り強く
本年7月、核兵器の開発や保有、使用を法的に禁止する核兵器禁止条約が採択されました。現在、発効に必要な批准国数50カ国以上が既に署名済みです。多くの方々の核廃絶に対する思いが条約として実を結んだことは大局的に一歩前進と評価します。加えて、核兵器禁止条約の採択に貢献してきたNGO(非政府組織)の核兵器廃絶国際キャンペーン、ICANにノーベル平和賞が授与されたことについて、国民の多くは率直に歓迎しています。核軍縮・不拡散に向けた機運が高まることは大変喜ばしいことです。
他方、条約採択の過程において、「核兵器のない世界」に向けた具体的なアプローチの違いから、核兵器保有国が参加せず、非保有国との間で溝が深まり、分断が大きくなったとの指摘もあります。「核兵器のない世界」という共通する大きな目標に向けて、核兵器の非人道性への共感を基軸として、厳しい安全保障環境も踏まえつつ、日本が橋渡し役となり、今後は双方の信頼関係の再構築を図りながら、具体的かつ現実的なアプローチを積み重ねていくことが極めて重要と考えます。
今月27日には、核兵器の保有国と非保有国の有識者が参加する「賢人会議」が被爆地である広島で開催されます。政府には、これらの会議をはじめ、核不拡散体制の維持・強化や包括的核実験禁止条約の発効に向け、粘り強い取り組みを求めます。
アジア外交
先般、APEC首脳会談、ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳関連会議が開催されました。世界の成長センターであるアジア太平洋地域において、APECそして創立50年を迎えるASEANが果たす役割は非常に重要です。
特に、APEC期間中のTPP(環太平洋連携協定)閣僚会合にて、いわゆる「TPP11(米国抜きの環太平洋連携協定)」について大筋合意がなされたことは、自由、公正でレベルの高い経済ルールを世界に広げていくという意思を示すものであります。
アジア地域の繁栄における日本の役割は重大であり、今後も、主導的な役割を発揮することに期待するものです。
日中関係は、本年の日中国交正常化45周年および来年の平和友好条約締結40周年の節目を迎えます。そうした中、ベトナムで日中首脳会談が行われ、新たなスタートとして、今後、意思疎通を図っていくことが確認されました。今後、延期となっている日本での日中韓首脳会談の早期開催や両国首脳の相互訪問を通じて、関係改善の動きをさらに進めていくことが重要です。
日ロ関係
安倍首相は、APEC首脳会議の際、ロシアのプーチン大統領と20回目の首脳会談に臨まれ、特に北朝鮮問題で、安保理決議の完全履行などが確認されたことは、極めて重要です。
一方、北方領土問題を含む平和条約交渉の進展に向けては、北方四島における共同経済活動の成否にかかっていますが、今後のプロジェクトの具体化に向けた現地調査を含め粘り強い交渉を求めます。
また、元島民の方々の航空機による墓参をはじめとする自由な往来など、人道的な措置の継続・改善も進めるべきです。
私が本年9月にロシアを訪問した際も、共同経済活動を通じた平和条約交渉や相互交流などについて、強い期待や関心が示されたところです。来年は、「日本年・ロシア年」。幅広い交流を通じて相互理解を深め、日ロ平和条約締結へとつなげていくことも必要です。
いよいよ、2019年のラグビーワールドカップ日本開催まで667日、20年の東京オリンピック・パラリンピック開催まで975日、国際的なスポーツの祭典への機運は高まってきました。国と関係自治体、そして国民が力を合わせて、大成功を期していかなければなりません。
しかし、それらは決してゴールではありません。私たちは、さらにその先の未来をも見据え、政治を前に進めていかなければならない。そのために公明党はさらに力を尽くしていくことをお誓いし、私の代表質問を終わります。
山口代表に対する安倍首相らの答弁(要旨)
【安倍晋三首相】
一、(学び直しについて)人生100年時代を見据え、そのカギとなるリカレント教育を抜本的に拡充するとともに、高齢者の方々を含めて同教育を受けた方の転職・再就職が可能となるような環境整備に努めていく。
一、(確実な賃上げに向けて)来春の春闘交渉で3%の賃上げが実現するよう期待している。政府として、過去最大の企業収益を賃上げや設備投資へと向けるため、所得拡大促進税制を含めた税制面での環境整備、賃上げに努力する中小企業への支援、公明党の提案で全国に設置した「地方版政労使会議」の活用など、あらゆる策を総動員する。
一、(認知症対策について)2020年度ごろまでに、症状の進行を遅らせる治療薬の治験開始をめざし必要な予算はしっかり確保する。認知症初期集中支援チームは、効果的に機能するよう、研修などを通じて、医療・介護人材の確保を支援している。若年性認知症には、医療・福祉・就労の相談など総合的な支援を行っていく。
【石井啓一国土交通相】
一、(防災・減災対策について)災害の教訓を踏まえ、リスクに関する知識と心構えを社会全体で共有し、災害に備える「防災意識社会」へと転換し、効果の高いハード対策と住民目線のソフト対策を総動員していく必要がある。また、地域の防災力向上のため、女性の視点を取り入れた自治体の防災対策を支援する。