e日本版DMO
- 2017.11.27
- 情勢/解説
公明新聞:2017年11月25日(土)付
地方の観光振興に役割大きい
日本を訪れる外国人観光客が増え続けている。その勢いを地方振興にもつなげたい。 観光庁によると、今年の訪日客数は2800万人を超え、5年連続で記録を更新する見込みだ。今年1~9月期の訪日客消費額も初めて3兆円の大台を突破、年4兆円の達成は確実という。
政府は、2020年までに訪日客を4000万人、消費額を8兆円にする目標を掲げている。そのカギを握るのが地方の魅力発信だ。今もなお東京、富士山、関西を巡る「ゴールデンルート」が中心となっている訪日客の目を、どう地方に向けさせるか。
この点で注目したいのが、「日本版DMO(デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーションの略)」である。
欧米で導入されているDMOは、自治体や事業者など幅広い連携によって地域観光を推進する法人組織。訪問客の調査・分析や観光ルートの開発など、観光振興に必要なさまざまな戦略を担う、いわば地域観光の司令塔だ。
例えば、瀬戸内海沿岸7県と事業者が設立した「せとうちDMO」は、歴史的建造物や古民家を宿泊・商業施設として活用することや、地元アイドルグループとの連携などを推進。「せとうちブランド」を確立して、北海道や沖縄と同じレベルにまで訪日客の認知度を高めようと知恵を絞っている。
日本版DMOの導入は2015年から始まり、これまで157のDMOが観光庁に登録されている。政府が当初目標とした100を大きく上回ったことは、観光振興にかける地方の熱意の表れといえよう。
気になるのは、各地の取り組みにばらつきがあることだ。情報収集力や人材、財源の問題などが背景にあるとされる。
このため政府は、専門家とのマッチングをはじめ情報や人材面での支援を強化する方針だ。DMOに対する財政支援も検討する。積極的に取り組んでほしい。
地方の魅力を海外に発信することは、新たな訪日需要の掘り起こしにつながる。日本版DMOが果たす役割は大きいことを、重ねて強調しておきたい。