e衆院予算委員会での公明党の質疑(要旨)

  • 2017.11.28
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年11月28日(火)付



27日の衆院予算委員会で、公明党の石田祝稔政務調査会長と竹内譲氏が行った質疑(要旨)は次の通り。



石田祝稔 政調会長


外交


日中、日韓関係の改善へ


3カ国サミットの実現に努める


石田祝稔氏 今年は日中国交正常化45周年、来年は日中平和友好条約締結40周年を迎える。日本と中国の関係にとって、重要な節目にある。

また、公明党の山口那津男代表が訪韓し、文在寅大統領と会談した際、文大統領は、日本で開催予定の日中韓サミット(首脳会談)への出席に意欲を示した。

日中、日韓関係の一層の関係改善に向けた首相の決意を聞きたい。

安倍晋三首相 ベトナムで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では習近平国家主席と、フィリピンで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議では李克強首相とそれぞれ会談を行った。日中関係のさらなる発展に向けた良いスタートになったと考えている。

日中韓首脳サミットの開催を実現した後、李首相の訪日、私の訪中、習国家主席の訪日を実現したい。

韓国は、戦略的利益を共有する最も重要な隣国であり、特に北朝鮮問題への対応では、日韓米の緊密な連携が重要である。

日韓両国の間に存在する困難な問題を適切に解決しつつ、未来志向の関係を発展させていきたい。


会計検査院の報告


国有地売却 公正価格で


公文書管理 必要なら法改正も検討


石田 (森友学園の国有地売却に関する問題で)今月22日に公表された会計検査院の検査報告を読んだが、(値引き額の算定方法などについて十分な根拠を)確認できないという言葉がすごく出てきた。行政が何をしたのかを振り返るには、記憶か記録に頼るかしかない。記憶は曖昧な部分があるので、記録を残すことが大事だが、今後の対応を聞きたい。

麻生太郎財務相 売却価格の客観性を確保するために、特殊な議案については第三者による算定や確認を行う。そして、適切かつ十分な文書管理の徹底を図るという方針で、今後見直しを行いたい。

石田 こうしたことがあれば、公権力の行使とは何なのかと言われかねない。

首相 公文書管理に対する国民の信頼をより一層高いものにするように、行政文書の作成・保存に関する基準の明文化、文書の正確性確保などを内容とする行政文書の管理に関するガイドラインの改正を年内に行うこととしている。また、各府省職員向けの研修の充実などを図る。こうした取り組みを行う中で、制度の見直しの必要があれば、法改正も含めて検討したいと思う。


TPP


日本の生産者を守れ


補正予算で万全な体制整備を


石田 米国を除く環太平洋連携協定(TPP11)が大筋合意に至り、日本も署名と早期発効に向けた取り組みを加速していく。

TPP11の発効による日本の農林水産業への影響に万全な対策を期すべきだ。

さらに、7月に大枠合意に達した日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)では、TPPで議題になっていないソフトチーズや住宅の柱に使われる構造用集成材などの欧州産の輸入が増大し、日本の農林水産業に携わる人たちが厳しい競争にさらされることになるとの懸念がある。

日本の農林水産業の体質強化と経営安定という観点から、補正予算で国内の生産者を守る万全な体制を整え、不安を払拭すべきではないか。

斎藤健農林水産相 気持ちはまったく一緒だ。全力を尽くして、補正予算と2018年度当初予算に臨みたい。


コメ政策


生産調整廃止後も国の関与促す


石田 コメ政策について伺う。(国の生産調整の廃止に伴い)18年産からコメの直接支払交付金、10アール当たり7500円がなくなることが心配されている。今まで国が生産調整に関与して(主食用米の生産数量目標の)配分を決めていたが、今後はどう関与していくのか。

斎藤農水相 国としても産地と中食・外食事業者などとの安定取引に向けたマッチングの取り組みへの支援、あるいは全国の需給見通しなどの情報提供を通じて(農家に需要に応じた生産を促す)民間の全国組織への支援ができるのではないかと考えている。


教育費の負担軽減


私立高の無償化必ず


経済再生相 認可外を外す議論なし


石田 消費税率10%への引き上げによる財源の使い道を一部変えて、教育に力を入れる理由は。

首相 人は教育を受けることで初めて可能性が開花する。同時に、日本の人口が減少する中で、全ての子どもたちが可能性を開花できる社会にしなければ日本として立ちゆかなくなる。どんなに貧しい家庭に育っても、専修学校や大学に行ける日本にしていく。

石田 幼児教育の無償化に関して「認可外保育所が無償化の対象になる、ならない」という議論が衆院選後に出てきたが、どうなっているのか。

茂木敏充経済再生相 全ての子どもたちについて、幼稚園、保育所を無償化することは、国民との約束なので守りたい。無償化の対象範囲に認可外施設が入らないという議論をしたことはない。公明党からの提言も踏まえ、今後、専門家の声を反映する検討の場を設け、来年の夏までに結論を出したい。

石田 高校進学率は98.7%に上るが、就学支援金で実質無償化されている公立と、私立との授業料の差は非常に大きく、応援が必要だ。公明党は年収590万円未満の家庭を対象とする私立高校授業料の実質無償化を衆院選で訴えた。私立高校に行かざるを得ない生徒の家庭は、お金持ちばかりではないので、ぜひやってもらいたい。

首相 私立高校授業料の無償化は、衆院選前に行われた党首討論で、公明党の山口那津男代表から申し入れがあった。公明党からは提言も頂いている。今後、しっかり取り組んでいく。


竹内譲 衆院議員


森友の再発防止策


算定の手続き明確化


国交相 丁寧に事務を遂行する


竹内譲氏 森友学園に対する国有地売却などに関する会計検査の結果について、国土交通相は、地下埋設物の処理費用算定額として約8億2000万円という数字は適正であったと考えるか。

石井啓一国土交通相 撤去処分費用を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていたことなどについて指摘されており、国交省として結果について重く受け止めなければならないと考えている。

竹内 森友学園側との売買契約書において、国側の責任が一切免除される特約を結んだ事情があり、一定の考慮が必要だったのではないかと思うが、今後どのように改善策を講じていくか。

石井国交相 第1に、見積もり業務に必要な作業時間をしっかり確保する。第2に、見積もりにかかる手続きなどの明確化を図る。第3に、行政文書のより適切な管理を図る。こうした取り組みを通じて、より丁寧な事務の遂行に努めていきたい。



地方大学の活性化


産学官の連携を推進


小規模校の特色ある授業も応援


竹内
地方は小規模大学が大変多い。地方大学の活性化は国立だけでは不十分で、小規模の私立大学にも目を向ける必要がある。小規模大学では、コンパクトでユニークな教育を実践している大学も多く、少人数だからこそ目が行き届き、特色ある教育が展開できるメリットもある。他方で、経営面では苦しいことも事実だ。入学検定料や授業料収入が少なく、広報宣伝に費用がかけられない。

地域の若者の就業機会確保や就業促進のため、地方公共団体や企業と連携しながら、地域に貢献する大学を支援していくべきだ。その際、地方国立大学だけでなく、中小の私立大学も含め地方創生のために優れた授業を行う大学に新たな交付金を創設してはどうか。

特色ある教育内容を提供する小規模大学には、情報通信技術(ICT)を活用した国内外の著名な講師による共同講義、最新の財務システムの共同利用、教育行政に意見を述べる場の確保などの支援策が必要だ。

首相 地方国立大学や中小の私立大学も含め、産学官の連携による地方創生の優れた取り組みを支援する新たな交付金の創設を検討し、地域経済を活性化していきたい。


社会保障


充実へ財源確保せよ


地域の医療、介護、福祉が重要



竹内 地域の高齢化が猛スピードで進展し、医療や介護、障がい者福祉などの充実が切実な問題になっている。(現役世代の)親の世代の医療や介護などを社会で支え合うことは、働き方改革や女性活躍の前提だ。地域の医療、介護、福祉を充実するための財源確保が重要であり、財政再建のために、簡単に、一律にこれらを切り捨てていくことのないよう、今後の予算編成などに臨まなければならない。

首相 医療、介護、住まい、生活支援サービスなどが住み慣れた地域で切れ目なく確保される地域包括ケアシステムの構築や、介護、障がい者福祉といった制度の縦割りを超えた地域の生活支援サービスの推進に取り組む。社会保障の持続可能性の確保と財政健全化の同時達成も重要な課題だ。限りある財源の中で適正化、効率化するべきことは実施するとともに、必要なサービスはしっかりと確保できるようにする。

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