e事業承継税制の拡充  中小企業の後継者確保に不可欠

  • 2017.11.28
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年11月28日(火)付



"大廃業時代"を回避するため、中小・小規模事業者の事業承継を進めたい。

回復基調にある日本経済の基盤を揺るがしかねない事態が進行している。中小・小規模事業の経営者の高齢化だ。

とりわけ「団塊の世代」をはじめ、多くの経営者が今後10年間に引退平均年齢の70歳を超える。ところが、その半数に当たる約127万の事業者で後継者が未定だという。

既に、黒字経営にもかかわらず後継者がいないため、廃業に追い込まれる中小・小規模事業者が増え始めている。このままでは廃業急増が避けられない。日本経済にとっても打撃となる。

事業承継を円滑に進めるには何が必要か。大きな柱となるのが、事業承継にかかる相続税や贈与税の負担を軽減することであろう。

この点、事業承継税制に注目したい。これは、中小・小規模事業者の後継者が一定の要件を満たせば、相続税や贈与税の課税を一部猶予する仕組みである。

しかし、現場からは一層の優遇措置を求める声が強い。

例えば、相続税の猶予額は株式などにかかる課税額の8割にとどまり、対象も発行済み株式総数の3分の2までに限られる。猶予に必要な「5年間で8割の雇用を維持」といった要件も含め、日本の事業承継税制は国際的に遅れているとの指摘もある。

公明党の山口那津男代表は参院代表質問で▽納税猶予割合100%への引き上げ▽対象株式総数制限の撤廃▽雇用維持条件のさらなる緩和―などを求めた。多くの中小・小規模事業者にとって心強い提案となったに違いない。

税制面だけでなく、後継者を育てるための支援策も欠かせない。経営者の中には、後継者の育成に5年から10年はかかると考えている人が多いからだ。親族などに分散した株式を後継者に集約することにも、時間と労力を要する場合がある。

早期かつ計画的な事業承継を実現するために、ワンストップ(1カ所)で中小企業の相談に応じる「よろず支援拠点」や、「事業引継ぎ支援センター」が各都道府県に設置されている。後継者を求める事業者は積極的に活用してほしい。

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