e参院予算委員会での公明党の質疑(要旨)

  • 2017.12.01
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年12月1日(金)付



30日の参院予算委員会で、公明党の西田実仁参院幹事長と三浦信祐氏が行った質疑(要旨)は次の通り。



西田実仁 参院幹事長


日中関係


首脳同士の往来 活発に

朝鮮半島非核化へ連携強めて


西田実仁氏 またしても北朝鮮が断じて許されない弾道ミサイル発射を行った。北朝鮮問題に対する決意を聞きたい。

安倍晋三首相 米韓両国の大統領と緊急電話会談を行い、北朝鮮に対する圧力強化などで一致した。引き続き、強固な日米同盟の下、高度な警戒態勢を維持し、国民の命と平穏な暮らしを守り抜いていく。

西田 朝鮮半島の非核化には、中国とのさらなる連携を強化しないといけない。日中韓サミット(首脳会議)の早期開催、首脳同士の往来、「日中ハイレベル経済対話」の再開に対する意欲を聞かせてもらいたい。

首相 日中韓サミットを早期に開催して李克強首相の訪日を実現し、その後に私が訪中してから、習近平国家主席に訪日してもらいたいと考えている。山口那津男代表の訪中が、大きな成果を上げられることを期待している。


森友学園問題


ルール履行の監視強化を

評価調書不作成 5年で9件


西田 (国有地売却に関して)近畿財務局が評価調書の作成を失念したというが、別の学校法人に対する売却契約の際は作成されていたと会計検査院の検査結果報告に記載されている。同じ人が評価しているのか。

太田充財務省理財局長 人物、部門とも異なる。部門間の連携が円滑に実施されなかった。今回、全国的に調べたところ、近畿財務局で他にも複数回同様のミスがあった。大変申し訳ない。

西田 何件あったのか。

太田 過去5年で9件あった。内規違反に当たる。

西田 国民の理解を得るには行政監視機能の強化が必要だ。新たなルールが作られても、守られなければ意味がない。ルール履行を担保する行政監視について立法府、行政府の垣根を越えた抜本的な議論が必要ではないか。

首相 行政内部の監査を担う機関が、国会の行政監視機能と相まって適切に機能を発揮することは重要だ。政府として今後も不断の取り組みを進める。


経済再生、中小企業支援


内部留保を成長投資へ

事業承継税制 使い勝手良く


西田 政府は企業の内部留保を成長投資へ向けるよう、指針づくりに乗り出すと聞いている。労働分配率(企業収益に占める人件費の割合)やその改善目標を公表し、説明責任を果たすよう義務付けてはどうか。

首相 公明党の提案で全国に設置した「地方版政労使会議」を通じた政労使の連携など、あらゆる施策を総動員し賃上げの勢いをさらに力強いものにしたい。

西田 中小企業の事業承継税制の抜本改革についての認識を聞きたい。

世耕弘成経済産業相 (贈与税・相続税の納税猶予に関する)要件を抜本的に見直し、使い勝手の良いものにする必要がある。

西田 後継者のマッチングや事業者への支援など、予算措置も含めた総合対策で臨む必要がある。

首相 "気付き"の機会の提供やマッチング支援を行う地域の体制強化、後継者による経営革新や新事業展開への支援など、補正予算も活用し、切れ目のない支援策を講じていきたい。

西田 中小企業の設備投資を後押しするには、固定資産税の軽減策として思い切った手だてが必要だ。予算措置も含めて、赤字を含む中小企業の投資を強力に後押しする必要がある。

首相 生産性革命を一気に進めることで、賃上げの風を全国津々浦々に届けたい。ものづくり補助金やIT導入補助金など税制だけでなく補正予算も活用した大胆な支援策を講じ、中小・小規模事業者の攻めの投資を総合的に支援したい。


二重ローン


支援機構の延長求める声多い


西田 東日本大震災で被災した企業の二重ローン問題を解消するために国が設立した「東日本大震災事業者再生支援機構」の支援決定期間が来年2月22日で終わる。支援機構により、「助かった」という声が多く寄せられている。まだ、ニーズがあるのではないか。

吉野正芳復興相 被災地への調査を行ったところ、(1)仮設住宅からの移転(2)顧客減少や風評被害(3)グループ補助金の自己負担分の返済猶予期限の到来――に関するニーズがあった。今後、二重ローン支援の相談を希望するのは約2600の事業者と見込まれる。


軽減税率


円滑導入へ万全な準備で

首相 対策補助金の期限延長


西田 軽減税率は、自公連立政権合意で「確実に実施する」と明記され、導入を決めた2015年の税制改正大綱には混乱が生じないよう「政府・与党が一体となって万全の準備を進める」としている。制度の円滑な運用のために、どのような措置を講じるのか。

首相 これまで軽減税率制度についてQ&Aを公表するとともに、商工会など事業者団体と連携し、16年4月以降、約1万4000回の説明会を実施した。延べ39万社程度の事業者に参加していただいている。(中小企業・小規模事業者を対象に、レジ導入などを支援する)軽減税率対策補助金の期限も19年9月30日までに延長した。引き続き、円滑な実施に向け、万全の準備を進めていく考えだ。


林業


成長産業化へ管理システム新しく


西田 自治体所有の森林に比べ、民有林は整備されていないなど課題がある。政府は林業の成長産業化を進め、新しい森林管理システムをつくろうとしているがどういうものか。

斎藤健農林水産相 多くの森林所有者は小規模で林業経営の意欲が低くなっている一方、林業経営者は事業拡大の意欲があるにもかかわらず、事業地確保に悩んでいる。

このミスマッチを解消するため、森林所有者からの委託を受けた市町村が、林業の集約化を図っていく。こうした新たな森林管理システムの創設を検討している。


三浦信祐 参院議員


教育費の負担軽減


給付型奨学金 拡充せよ

中所得・多子世帯に配慮も


三浦信祐氏 公明党が長年主張してきた返済不要の給付型奨学金制度が実現したが、まだまだ経済的理由から進学を断念している場合がある。給付型奨学金の支給要件をさらに拡充し、見直していくことも大事だ。

例えば、(配偶者と死別または離婚した世帯の税負担を軽くする)寡婦控除が受けられないシングルマザーや事実婚の世帯、現役学生の家計が急変した場合も対象にすることなどが挙げられるが、どうか。

林芳正文部科学相 大変に大事な指摘だ。しっかり検討していきたい。授業料減免、給付型奨学金それぞれ大幅な拡充を行い、真に必要な子どもたちを対象に高等教育の無償化を実現する方針だ。

三浦 給付型奨学金の拡充では、低所得はもとより、中所得世帯にも多子世帯にも、給付型奨学金の恩恵がある制度とすべきだ。給付額を増加するだけでは、むしろ納税をたくさんしている中所得世帯とのギャップが拡大することになる。今一度、制度を考えてもらいたい。

文科相 中所得世帯や多子世帯への配慮を含め、しっかり取り組んでいく。


自殺防止対策


相談窓口にSNS活用

若者世代に合わせた体制必要


三浦 最新の自殺対策白書によれば、日本の10代後半から30代の死因の第1位が自殺。これは、主要先進7カ国で日本のみだ。若者の自殺対策を何としても進めなければならない。

総務省の調査では、10代の連絡手段と1日当たりの平均利用時間は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が58.9分、携帯電話の通話で2.7分、固定電話はほぼゼロだ。時代に合わせ、学生・青年世代のSNSを活用した相談窓口を構築するための人手や予算確保に取り組んでもらいたい。

加藤勝信厚生労働相 SNSを活用した相談機関の確保、相談ノウハウの確立や相談員の育成を関係省庁と連携し検討していく。

三浦 若者の自殺防止対策の推進には政府一体となって取り組む必要がある。具体的な推進を願いたい。

菅義偉官房長官 極めて重要な課題と受け止めている。一つ一つ対策を講じていきたい。


核兵器廃絶


日本が先導役果たせ

唯一の被爆国として世界リード


三浦 (核兵器禁止条約に対して立場の違う国の)橋渡しというスタンスだが、今後具体的な行動は。

河野太郎外相 条約に掲げられている核廃絶という目標はわが国も共有している。立場の違いを乗り越えるために、信頼を再構築することが重要だと考えている。NPT(核拡散防止条約)といった核兵器国も参加する取り組みで、関係国に働き掛けを密に行いたい。

三浦 世界で唯一の被爆国としての使命を果たすため、来年予定されている核軍縮国連ハイレベル会合へ首相が出席するなど、核軍縮、核廃絶へ世界を動かすためにリーダーシップを取ってもらいたい。

首相 核兵器国、非核兵器国双方の信頼関係を再構築する上で橋渡し役を務め、賢人会議の開催、CTBT(包括的核実験禁止条約)の発効などに向け、現実的かつ実践的な観点から核軍縮、不拡散を進めるために粘り強く取り組んでいく。

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