e水道管の老朽化 対策怠れば暮らしに甚大な影響
- 2017.12.01
- 情勢/解説
公明新聞:2017年12月1日(金)付
日本が世界に誇る「安全な水道水」を維持するため、上下水道管の老朽化対策を急ぐ必要がある。
国土交通省は、2016年度に実施した下水道管の点検結果を公表した。15年に成立した改正下水道法で、腐食の恐れの大きい下水道管について「5年に1回以上」の点検が義務付けられ、今回が初の結果公表である。
全国で約47万キロメートルに及ぶ下水道管のうち、点検対象となったのは約5000キロ。今回は、その約1割に当たる490キロの点検を終え、5キロが老朽化対策が速やかに必要とされるとの判定を受けた。
このうち、2.3キロは来年3月までに更新作業を行うことが決定している。残りについても更新計画を早急に決めるべきである。
国交省は定期的に結果を公表する方針を示している。下水道管の現状を、国民に「見える化」する取り組みとして注目したい。
下水道管の点検が義務付けられた背景には、下水道管の老朽化による道路陥没という国民生活に影響を及ぼす事態が相次いでいることがある。国交省によれば、道路陥没事故は年間3000件を超すという。
道路の陥没が起きると、地下に埋設されている水道やガスなどのライフラインが寸断され、日常生活に甚大な影響を与える。昨年11月、福岡市の博多駅前で大規模な道路陥没事故があったことは記憶に新しい。人災リスクを減らす取り組みが急がれる。
下水道管に比べ、さらに老朽化対策が遅れ気味なのが上水道管だ。このため公明党は先月28日、上水道の施設整備充実や水道法改正を厚生労働省に対して要望した。
具体的には、老朽化対策などを進めるため今年度当初予算に盛り込まれた施設整備費が、全国の事業者が必要とする額に満たないことを受け、補正予算を組み、そこで対応するよう求めた。また、長期的な老朽化対策のために上水道の基盤を強化する水道法の改正も訴えた。
水道管の耐用年数は40年とされるが、主な上下水道が整備されたのは1970年代である。老朽化対策が急務であることを重ねて指摘しておきたい。