e地方大学 魅力高め地域振興につなげたい
- 2017.12.04
- 情勢/解説
公明新聞:2017年12月2日(土)付
東京一極集中を是正して地方を活性化するには、教育環境の充実によって若者が集まる街づくりが不可欠だ。この点で地方大学が果たす役割は大きい。
しかし、地方大学は今、苦境に立たされている。
地方に住む高校生は大都市の大学への進学を希望する傾向が強い。これに対して地方大学は、三大都市圏に比べ小規模校が多いことに加え、18歳人口の減少により入学検定料や授業料の収入が伸び悩み、宣伝費も十分に確保できないのが現状だ。
就活のことを考えて企業が集中する大都市の大学をめざそうとする学生の心情は理解できる。ただ、大手人材広告企業の調査によると、地元大学に進学した人は卒業後も地元での就職を希望する割合が高いという。
大切なことは、地方大学の魅力をどう高めるかだ。
先月27日の衆院予算委員会で公明党の竹内譲氏は、地方創生のために優れた授業を行う大学を対象にした新たな交付金の創設を主張した。
この交付金は、自治体や企業と連携し地域に根差した特色ある授業を行う大学への支給が想定される。地域の産業振興や人材育成につなげることが狙いだ。地方大学の課題解決に向けた具体的な提案として注目したい。
経営に苦慮する地方大学にとり、財政的な支援は心強いだろう。同時に、大学側には教育内容に一層の工夫が求められることは言うまでもない。
既に、地域の企業などと協力して教育内容の充実に知恵を絞っている大学も出てきている。
例えば、観光に関する授業の一環として学生が宿泊プランを考案し、地元の旅館やホテルに提案したり、学生が地域の魅力や課題を掘り起こし、観光協会や自治体に提言するといった、地域ならではの取り組みを進めている大学もある。
地方大学から新たなビジネスモデルが生まれることは、地域経済にとって大きな追い風となる。新たな交付金制度により各地の取り組みを後押しする必要があろう。
地方大学間の情報共有や先進事例の周知も一層進め、地方大学が地域振興のリード役を担えるようにしたい。