e委員会質疑から
- 2017.12.06
- 情勢/解説
公明新聞:2017年12月6日(水)付
障害年金の"更新"改善へ
伊藤さんに厚労相 書類提出の期間延長検討
5日の参院厚生労働委員会で伊藤孝江さんは、障害年金の"更新"時に受給者が提出する「障害状態確認届」について、誕生月の月初には書類が届き、月末までの約1カ月間で医師の診断書とともに郵送などで提出しなければならない現状に言及。視覚障がい者の「1カ月では時間が足りない」との声を代弁し、改善を求めた。
伊藤さんは、視覚障がい者の現状として、期限までに診断書の用意が難しい場合があることや、医師への依頼や書類記入にも援助が必要なことなどを指摘。書類提出までの期間延長、提出時の宛名書きが不要となる配慮を訴えた。
加藤勝信厚労相は「期限の3カ月前に(書類を)送付する方向で検討したい」と応じた。
サポステの登録手続きを見直せ
山本さん
山本香苗さんは、ニートなどの若者の就労を支援する地域若者サポートステーション(サポステ)について、2013年の「行政事業レビュー」での指摘を受けて導入された登録手続きの改善を求めた。
山本さんは、登録手続きで対人関係の苦手意識などの記入を求められ、ハローワークによる審査も行われることに触れ「逆に若者を支援から遠ざけている。直ちに見直しを」と訴えた。
これに対し加藤勝信厚労相は「課題を検証したい」と答えた。
がん検診、主婦や自営でも受けやすく
三浦氏
三浦信祐氏は、がん検診について、「会社員は企業負担で受診できる場合が多いが、専業主婦や自営業者は受診しづらい実態がある」と指摘。専門家に加え受診していない人などからも意見を聞き、受診率向上を図る必要性を訴えた。
高木美智代厚労副大臣(公明党)は、「がん検診と特定健康診査を同時に実施するなど、受診しやすい環境整備に努めたい」と答えた。
中小の賃上げ後押し
矢倉氏 「人への投資」進めよ
5日の参院経済産業委員会で矢倉克夫氏は、来年度税制改正で、企業が賃上げした際に増加分の一部を法人税から控除できる所得拡大促進税制の延長・拡充を求めた。
その上で矢倉氏は、中小企業の賃上げ促進とともに「教育費など人づくり分野への投資が広がるよう対象を広げるべきだ」と訴えた。
平木大作経済産業大臣政務官(公明党)は、賃上げに加え、「教育機会の拡充を図る企業を強力に後押しするため、社内研修の充実など教育訓練に取り組む企業への上乗せ措置を図っていく」と応じた。
また矢倉氏は、来年度の予算編成に向け「雇用の7割を支える中小・小規模事業者への十分な予算の確保が必要」と強調。世耕弘成経産相は、「予算や税制、金融といったあらゆる面で中小企業を応援していく」と答えた。
重点的に事業承継拡充
里見、宮崎氏 教育投資の必要性も主張
5日の参院財政金融委員会で里見隆治、宮崎勝両氏は、中小企業の円滑な事業引き継ぎを促すため、事業承継税制の拡充などを求めた。
里見氏は中小企業経営者の高齢化を踏まえ、「事業承継税制の拡充に重点を置いて取り組むべきだ」と力説。具体的には、相続税などの納税猶予の適用要件について、「5年間で8割の雇用を維持」などを見直すよう求めた。木原稔財務副大臣は「政府としても使い勝手の良い制度になるよう検討する」と答えた。
一方、宮崎氏は、大学など高等教育への投資により1人当たり約2.4倍の費用対効果があるとの試算に言及。教育投資は経済にも好影響を与えると指摘し、政府の見解をただした。
いじめ相談 SNSは有効
佐々木さん 全国展開へ予算確保を
5日の参院文教科学委員会で、佐々木さやかさんは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用した、いじめ相談について、既に導入した一部自治体で電話を大きく上回る件数の相談が寄せられた事例を紹介し、「全国展開していく必要がある。各自治体の取り組みの後押しとともに予算の確保を」と訴えた。
林芳正文部科学相は「全国的な展開を検討したい」と応じた。
また、相談を受け付ける対象について、佐々木さんは、自殺防止や社会教育という観点から、児童生徒に限らず、大学生など若い世代全般に広げるよう要請。相談対応に関するマニュアル作成や相談員の確保などの必要性も主張した。
被災者のいじめ防止策を講じよ
若松氏
5日の参院法務委員会で若松謙維氏は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故による被災者の人権擁護策を講じるよう求めた。
若松氏は自主避難した子どもたちへのいじめ問題に関して、「いじめは人権侵害であり、犯罪であるという意識を幼児・小学生のうちから広めるべきだ」と訴えた。
上川陽子法相は人権教室などを通じて「啓発を徹底的に進める」と述べた。
市場機能 維持欠かせず
横山氏 規制見直し慎重に
5日の参院農林水産委員会で横山信一氏は、政府が検討を進めている卸売市場法の見直しに関して、食料の安定供給を果たしてきた市場の役割を踏まえるべきだと訴えた。
横山氏は、卸売業者が農協などからの出荷物を拒むことを禁じた「受託拒否の禁止」規制について、「豊凶変動のある生鮮食料品を出荷する生産者にとって、出荷先を確保でき、安心した生産につながる」と指摘。さらに「卸売市場機能の根幹を成し、生産者には必要不可欠」と訴え、見直しに慎重な対応を求めた。
斎藤健農水相は「受託拒否の禁止の継続を求める(関係者からの)声が大勢」と答え、市場が果たしてきた機能を踏まえて検討していくと述べた。
対北、連携強化へ日中韓サミット早く
杉氏
5日の参院外交防衛委員会で杉久武氏は、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の問題を解決するために、国際社会と、より緊密に連携していく重要性を強調。特に、日本と中国、韓国による協調は不可欠と指摘し、「3カ国のトップが胸襟を開いた対話を継続し、発展させるためにも、日中韓サミット(首脳会議)の早期開催を」と訴えた。
河野太郎外相は「なるべく早く開催する方向で調整していく」と答えた。
自治体基金はインフラ維持に必要
高木氏
5日の衆院総務委員会で高木陽介氏は、自治体が公共施設の老朽化対策などに備え、積み増している基金について質問。全国の自治体の基金残高が2016年度末で10年前と比べて7.9兆円増加したことを踏まえ、政府が先月の経済財政諮問会議で運用面の見直しを議論したことに触れ、「総務省は実態を把握し、(社会資本の維持などに欠かせない)基金の必要性を訴えるべき」と訴えた。
野田聖子総務相は「しっかり(実態を)調査して当たっていく」と応じた。