e対人地雷禁止条約

  • 2017.12.08
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年12月8日(金)付



調印から20年。廃絶へ努力さらに

対人地雷の使用、保有、生産、輸出入などの禁止と廃棄を加盟国に義務付ける対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)。1997年12月3日、日本を含む121カ国がカナダの首都オタワで同条約に調印してから、ちょうど20年を迎えた。現在、日本など162カ国が参加している。

この節目に、同条約の加盟国が掲げる「地雷のない世界」の2025年までの実現という目標を今一度思い起こし、地雷廃絶に向けた国際社会の取り組みを加速すべきだ。

紛争地を中心に埋設された対人地雷は、紛争終結後も残存し、生活を脅かし続ける。女性も子どもも、踏んでしまえば爆発し、誰でも構わず殺傷する。死に至らなくとも、手足を失い、一生苦しみ続ける被害者を生み出す、極めて非人道的な兵器である。

だからこそ、オタワ条約は、対人地雷の除去と被害者を支援するための国際協力も呼び掛けている。

これにより、状況は着実に改善に向かっている。オタワ条約が発効した1999年3月の時点で、世界中に1億6000万個あると推計されていた対人地雷は今、約5000万個まで減少したという。地雷保有国も131カ国あったが、現在は50カ国である。被害者も99年の時点で9220人だったが、2014年には3695人にまで減った。

公明党は、日本のオタワ条約への参加を政府に強く働き掛けると同時に、日本の技術力を生かした地雷除去機や探知機の開発と実際の活用を推進してきた。

今年6月30日には、地雷除去や被害者支援などを国際社会に要請する、初の国連安全保障理事会(安保理)決議が採択された。日本とボリビアが共同で提案した決議である。地雷問題の解決に向けた国際社会の取り組みを、今後も日本が主導していきたい。

オタワ条約の成立に貢献し、1997年にノーベル平和賞を受賞した国際非政府団体(NGO)「地雷廃絶国際キャンペーン」(ICBL)によると、2015年に被害者が6461人に急増したという。シリアやイエメンなど、近年頻発している紛争がこの背景にある。地雷被害者ゼロをめざし、国際社会の取り組みを強化することが必要だ

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