e遠隔診療 ICT活用し受診の負担を軽く

  • 2017.12.11
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年12月9日(土)付



受診の負担軽減と同時に、医師偏在の弊害解消にもつなげたい。

厚生労働省の社会保障審議会は6日、情報通信技術(ICT)を活用した「遠隔診療」を、2018年度から積極的に導入する方針を決定した。

遠隔診療の推進は、政府の「骨太の方針」と「規制改革実施計画」(ともに15年)に初めて明記され議論が本格化した。公明党の強い推進で盛り込まれたものであり、今回の決定を評価したい。

遠隔診療とは、患者が自宅など病院以外の場所から、インターネットを介して映像や音声をつなぎ、医師と直接対面せずに行われるもので、処方箋を出すこともできる。海外では急速に拡大しており、日本でもパソコンやスマートフォンの普及により導入の環境が整いつつある。

日本では長い間、初診については対面で行うことが原則とされてきた。しかし、高齢化の進展に伴い、医療機関に足を運ぶことが難しい高齢者が増えている。在宅の要介護者も多い。離島など医療機関が十分に整っていない地域に住む住民にとっても、対面診療の負担は大きい。

こうした課題の解決に役立てるため、遠隔診療を普及すべきであることは言うまでもあるまい。

今後の論議の焦点は、どの疾患を遠隔診療の対象にするかに移る。何より、安全性を最優先に検討してほしい。

遠隔診療は、対面診療に比べて患者から得られる情報に限りがある。利便性を追求するあまり、医療の質の低下を招いてはならない。遠隔診療は、あくまでも対面診療を補完する役割を担うとの認識を、医療関係者や患者が共有すべきであろう。

治療効果の視点も重要だ。これまで厚労省は、一部の医療行為について遠隔診療を認めてきた。例えば、禁煙治療において条件付きで導入しており、対面診療と同等以上の効果が確認されている。触診の必要性が低い疾患から遠隔診療を広げていくなど、患者の理解と納得を得やすい取り組みを求めたい。

診療行為は、医師と患者の信頼関係の上にこそ成り立つ。遠隔診療についても、この点が大前提である。

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