e悪質商法 被害防止へ改正法の周知丁寧に

  • 2017.12.18
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年12月16日(土)付



「苦労して、ためたお金をだまし取られた」―。こうした、許しがたい消費者被害を根絶する契機としたい。

悪質商法の被害防止へ、事業者への規制を強化した改正特定商取引法(特商法)が今月1日に施行された。

特商法は、訪問販売や電話勧誘などトラブルになりやすい取引を対象に、一定期間内なら消費者が一方的に契約を解除できるクーリングオフなど、消費者を守るルールを定めたものである。

改正の柱の一つは厳罰化だ。虚偽説明などの違反を犯した業者に対する罰金の上限を300万円から1億円に引き上げた。違反を繰り返す個人への取り締まりも強化し、業務停止命令の期間を最長1年から2年に延ばした。

消費者保護も一層進む。契約に際し、事業者が契約者の意に反して現金自動預払機(ATM)へ連れて行く行為が禁止された。「寝具を4カ月で6回購入」など、電話勧誘による常識を超えた量の販売も、契約から1年以内であれば解約できるようになった。

これらの改正点は、いずれも公明党が主張してきたものであり、評価できる。

国民生活センターによると、近年の消費生活に関する相談は年間約90万件で高止まりしている。特に訪問販売や電話勧誘販売については、65歳以上からの相談割合が65歳未満の約3倍に及ぶ。

高齢化の進展に伴い、悪質商法による被害が拡大することが十分に予想される。先手を打つという意味で、改正法施行の意義は大きい。

新しいルールは1日以降に結んだ契約から適用となる。国は、改正法のポイントについて具体例を挙げて丁寧に伝え、泣き寝入りや、知らずに損をする人が少しでも減るよう努めてほしい。

消費者を守る法律は特商法以外にも、消費者契約法や景品表示法と多岐に及ぶ。多くの契約でそれぞれにクーリングオフ制度があり、国民が全て把握し、的確に判断するのは容易ではない。

そこで頼りになるのが全国共通の消費者ホットライン「188」だ。最寄りの消費生活相談窓口につながり、悪質商法についてアドバイスを受けられる。こちらの活用も、国はさらに促してほしい。

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