e東京五輪のテロ対策 大規模施設の安全どう守るか

  • 2017.12.19
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年12月19日(火)付



海外で頻発するテロ事件を国内で起こさないよう備えを万全にする。その決意を新たにしたい。

2020年の東京五輪・パラリンピックでは、要人を含む来場者が大会会場を中心に大勢訪れる。そこで政府は、東京五輪などを見据えた「テロ対策推進要綱」を決定した。最新のテロ情勢を踏まえ、従来の取り組みを一層強化したものだ。

要綱の柱は、外務省や警察庁など関係11省庁の横断組織「国際テロ対策等情報共有センター」(仮称)の創設である。政府内で情報を迅速に共有・分析できる体制が整備される意義は大きい。

また、要綱には▽先端技術を活用した出入国管理体制の強化▽テロ負傷者に適切な治療を施す外科医の養成▽テロリストの拠点となる恐れがある違法民泊の取り締まり―などの具体策も盛り込まれている。

とりわけ注目すべきは、駅や空港、イベント会場など不特定多数が集まる、いわゆる「ソフトターゲット」への警戒強化である。

レストランやサッカー場などが狙われ多くの死傷者を出した15年のパリ同時多発テロは、記憶に新しい。今年に入ってからも、英国・マンチェスターでコンサート会場が爆弾テロに見舞われた。

ソフトターゲットがテロの標的となることは、世界的な傾向である。国内対策の急所も、この点にあることは言うまでもあるまい。

そこで要綱では、警備担当者の取り組みだけでなく、施設従業員など全ての関係者がテロに対する危機意識を共有することの重要性を強調している。テロ対策は、総力戦で取り組んでこそ効果を発揮することを肝に銘じたい。

忘れてならないのは、万一の事態を想定した実践的な訓練を重ねておくことではないか。既に、そうした動きは広がりつつある。

例えば今月、千葉市の幕張メッセで、サイバーテロを受けて照明がダウンし、爆発物も設置されたとの想定で訓練を実施。千葉県警と施設の関係者らが避難誘導の手順などを確認した。

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