e自動運転車 初の無人走行試験。実用化に期待
- 2017.12.21
- 情勢/解説
公明新聞:2017年12月21日(木)付
車内に誰も乗っていないが、人間の代わりに機械が運転操作を行う自動運転車を、一般車両が行き来する公道で走らせる。国土交通省と経済産業省は18日、その実証実験を石川県輪島市で実施した。
人がまったく乗っていない車の公道での走行試験は、国内で初めてだ。自動運転の技術は着実に進歩している。
実験は、無人の自動運転車が利用者を迎えに行くという想定で実施。約100メートルを無人で走った後、人を乗せて輪島市内約1キロメートルを周回した。
走行した道路には、交差点や横断歩道などもあるが、車体に取り付けられているセンサー(検知器)で周囲の状況を確認し、速度を変えたり、止まったりできる。危険と判断された場合には、離れた場所で監視している遠隔操作者が車両を止める。
輪島市内では実験の前日に降った雪が残っており、路面がでこぼこしていた。そのため、車が左右にぶれるなど、安定した走行ができなかった場所もあったという。今後も実験を重ね、どのような状況であっても安全に走れるよう、開発を進めてほしい。
政府は無人自動走行による移動サービスを2020年までに実現するとしている。自動運転車の実用化に対する期待は非常に大きいからだ。
何より交通事故の減少につながる。警察庁によれば、車の運転者が引き起こした死亡事故の多くは、ブレーキとアクセルの踏み間違えといった運転操作ミスや、脇見運転や安全確認を怠るなどの不注意が原因である。
自動運転車は自動ブレーキや、車間距離を維持したり車線をはみ出さないようにする装置を駆使し、事故を未然に防ぐことができる。
また、公共交通機関が整っていない過疎地においては、高齢者や障がい者など、自分で車を運転することができない「交通弱者」のための移動手段としても活用できる。
急ぐべきは、半導体や人工知能(AI)に精通する人材の確保だ。自動運転に必要な半導体の情報処理能力は、パソコンで使われているものの2300倍以上になるという。この点が、自動運転車を開発する上で、最も困難な技術的課題であることを指摘しておきたい。