eコラム「北斗七星」

  • 2017.12.28
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年12月28日(木)付



年の瀬の大阪。恒例の動物同士による、干支の引き継ぎ式が27日、通天閣であった。暦のバトンリレーをした鶏(酉)と犬(戌)は肌が合うのか、ペアになった四字熟語が幾つかある。「鶏犬不寧」もその一つ。事態が極めて緊迫した状況に至っているという意味である。北朝鮮の蛮行が頭に浮かぶ人もいよう◆国連の安全保障理事会の対北制裁決議の採択は既に10回、今年だけで4回に及ぶ。だが、意に介さぬように軍事挑発をエスカレートさせる。沙汰の限りである。今年は兵士の国外逃亡があった。ハングル表記の木造船の漂着も相次ぐ◆米ソ対立の時代、イデオロギーの壁がドイツを東西に隔てた。やがて、ベルリンから東欧に自由や人権の風が吹き抜ける。統一国家となった今、欧州連合(EU)の盟主として、世界の平和と安定の旗振り役を担う◆しかし、38度線を挟んだ国境は冷戦時代の最前線のままである。否、昨今の国際秩序の不安定さが、朝鮮半島では一段と振幅の度合いを増す◆「鶏犬相聞」。鶏と犬がそろえば、この故事にもご登場願わねばなるまい。動物の鳴き声をあちこちで耳にする牧歌的な風景を指す。中国の老子は、人々が平和に暮らす理想郷とした。独裁国家の親子3代が引き継ぐ瀬戸際外交。何としても、バトンを捨てさせねば。(明)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ