eコラム「北斗七星」

  • 2017.12.29
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年12月29日(金)付



巨大津波をもたらす超巨大地震が、「切迫している可能性が高い」。政府の地震調査委員会は先週、北海道の太平洋側にある千島海溝での地震活動について長期評価を発表した◆同委員会は、道東沿岸の地層を調査し、津波が運んだ堆積物から地震の発生回数や年代、規模などを推定。「340~380年間隔でマグニチュード8.8程度以上の地震が起こる」とした。直近の発生から400年が過ぎ、警鐘を強く鳴らす結論に。国や関係自治体の早急な対応が求められる◆今後30年以内の発生確率は7~40%。数値に幅がある主な理由は、北方領土での調査が困難なことによるデータ不足。アイヌが文字を持たず、明治期以前の記録が極めて少ないことも検証の不確実性を増す要因で、北海道特有の事情が"壁"となっている面も◆一方、アイヌ文化から災害に対する"先人の知恵"を読み取ろうとする研究もある。例えば「札幌」という地名。元々のアイヌ語を意訳すると、「市内を流れる豊平川が造った広い扇状地。この川は暴れやすい」といった具合。各地には地震や津波に関する伝承も残り、そこに込められた教訓を探る◆東日本大震災で注目された三陸地方の言い伝え「津波てんでんこ」の例もある。今回の評価を契機に、日々の備えの大切さをあらためて胸に刻みたい。(武)

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