e交通バリアフリー新たな試み

  • 2018.01.09
  • 情勢/テクノロジー
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公明新聞:2018年1月4日(木)付



2020年東京五輪・パラリンピックへ



2006年にバリアフリー法が施行されて以降、公共交通機関での段差解消やエレベーターの設置などが進んでいる。20年東京五輪・パラリンピックまで3年を切り、外国人観光客や障がい者らが安心して移動できるよう、新たな試みを始めた東京都や民間事業者の動きを紹介する。



ホームドア QRコードで開閉調整
サービス介助士 障がい者らを手助け
福祉タクシー 車いすでも乗車可能



東京都内を走る都営地下鉄浅草線の大門駅(港区)に電車が到着した。すると、車両ドアに張られたQRコードを、駅天井のカメラが読み取り、ホームドアが開いた。

この技術は、都がQRコードの生みの親、デンソーウェーブ(愛知県)と共同で開発した。都はホームドアの設置を進めようと、17年11月からQRコードを活用した実証実験を開始している。最大の特徴は、QRコードで車両タイプを判別し、ホームドアの開く数を調整する点だ。

浅草線では五つの事業者が乗り入れ、車両ごとにドア数が異なる。このため、ホームドアを設置するには、各車両に高額な通信機器を取り付ける必要がある上、どのホームドアを開閉するのか調整が難しかった。

こうした状況は都内に限らず全国的にも共通する課題だ。加えて、ホームドアそのものの設置費用が高いこともあり、JRを含む都内の鉄道駅への設置率は16年度末で33%にとどまる。

都交通局の担当者は「1編成6両ほどだと通信機器の設置に数千万円かかるが、QRコード式を導入できれば驚くほどの低コストで済む」と話す。浅草線(20駅)では東京五輪・パラリンピックまでに、大門駅に加え、利用客の多い新橋、三田、泉岳寺の駅でもこの新技術を使ったホームドアを設置する予定だ。

国土交通省の技術企画課は「全国的に見るとホームドア設置駅はまだまだ少ない。複数のタイプの車両に対応できる新技術の広がりに期待したい」と語る。

こうしたハード面の対策を進める動きがある一方、首都圏の鉄道会社を挙げて、駅員が高齢者や障がい者の乗り降りを手助けする「サービス介助士」の資格取得に力を入れている。例えば、都営線では全駅に有資格者が配置されている。その効果を都交通局に聞くと、「駅員が積極的に声掛けができるようになり、利用客から喜ばれている」と話していた。

他の交通機関でもバリアフリー化が進む。都内では、タクシー事業者が昨年10月から、車いすのまま乗り降りできるように、天井を高く、後部座席を広くした"福祉タクシー"の導入を始めている。トヨタ自動車が開発した。国交省が推進する「ユニバーサルデザインタクシー」として認定を受けており、タクシー各社は、東京五輪までに3台に1台をこれに切り替える予定だ。

また、都営バスは、車内の段差を一切なくしたフルフラットバスを今年12月に国内で初めて路線バスで導入する計画だ。


旅客施設 約9割で段差解消


公明、対策加速へ全力


国交省によると、1日当たり3000人以上が利用する鉄道駅などの旅客施設のうち、約9割で段差の解消や点字ブロックの設置など、バリアフリー化が着実に進んでいるという。一方で、東京五輪の開催までに、より高水準のバリアフリー化が必要とされている。

こうした状況を踏まえ、政府は昨年2月、障がいや年齢に関係なく安心して移動などができる「ユニバーサルデザインの街づくり」と「心のバリアフリー」の2本柱を行動計画として策定した。

このため、17年度中にバリアフリー法に基づく施設の整備基準を改正する。具体的には、交通機関における車いすスペースの設置数の拡大や、駅ホームから地上までを結ぶバリアフリー化された経路の充実などを義務付ける方針だ。

また、障がい者への理解を深めるため、小中学校の教科書への記述を増やす。18年度をめどに障がい者らを支援したい人を示す全国統一のマークも創設する。

一方、バリアフリー法施行から10年以上が経過したことを受け、国交省は、今年の通常国会での法改正をめざす考えだ。具体的には、(1)交通機関における介助者の配置などソフト対策の充実(2)個々の施設だけでなく経路も含めた、地域の"面的"なバリアフリー化の推進――などを見直しの検討項目に挙げている。

バリアフリーに一貫して取り組んできた公明党は、昨年12月、党内に「バリアフリー法及び関連施策のあり方に関するプロジェクトチーム」(PT、座長=赤羽一嘉衆院議員)を設置。バリアフリー法の見直しなど、対策の加速へ議論を進めている。

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