e「学童」の待機児対策
- 2018.01.09
- 情勢/解説
公明新聞:2018年1月6日(土)付
小1の壁、どう乗り越えるか
都市部を中心に深刻化する保育所の待機児童数は、全国で2万6081人(昨年4月時点)にも上る。高まる一方の保育所ニーズに対し、政府は問題解決に全力で取り組んでもらいたい。
「待機児童」の問題、実は就学前だけではない。共働き家庭などの小学生を放課後に空き教室などで預かる放課後児童クラブ(学童保育)でも顕著になってきた。
昨年5月時点で、学童保育の施設は全国で2万4573カ所、登録児童数は117万1162人を数えるが、希望しても利用できない待機児童について、厚生労働省は昨年末、1万7170人に達すると公表した。
背景には、共働き家庭の増加に加え、児童福祉法の改正で、2015年に学童保育の対象年齢が「おおむね10歳未満」から小学6年生までとなった影響も大きい。小学校入学前だけでなく、入学した後も、保護者が帰宅するまで安心して子どもを預けられる環境づくりが急務と言えよう。
まず求められるのは、受け皿の確保だ。この点、政府は約122万人分を確保する「放課後子ども総合プラン」の目標達成時期を当初より1年間前倒しし、18年度中に実施する方針を示している。
さらに重要な視点がある。子どもが小学校に入学すると、保護者にとって仕事と育児の両立が困難になるという"小1の壁"をどう乗り越えるかだ。
たとえ子どもを学童保育に預けても、保護者の負担はなお大きい。例えば、(1)多くの施設で開所時間が18時ごろまでと保育所より短い(2)親の短時間勤務が「小学校入学前まで」という企業が少なくない(3)保育所に比べて平日昼間の学校行事が増える――などの課題があるからだ。
18年度予算案には、学童保育で働く支援員の処遇改善や、長時間の開所に国の補助金を加算するための予算が計上されている。実効性ある対策に生かしたい。
企業側の理解と協力も欠かせない。短時間勤務制度の拡充をはじめ、テレワークなど在宅勤務の推進や、勤務時間を弾力的に設定できるフレックスタイムの普及など、柔軟な働き方の実現が一層求められよう。