e再配達問題 公共の場に宅配ロッカー普及を
- 2018.01.09
- 情勢/解説
公明新聞:2018年1月9日(火)付
インターネット通販の利便性を維持するため、再配達の必要がない宅配ロッカーの普及を急ぎたい。
ネット通販の市場規模は2016年に15兆円を超え、5年間で1.78倍と急速な成長を続けている。これに伴い宅配便の取扱個数も急増し、16年度は40億個を突破した。
しかし、受取人不在による再配達が、このうち約2割を占めている。年間の労働力に換算するとドライバー約9万人分、約1億8000万時間の労力に匹敵するという。重大な社会的損失である。
この問題を、どう解決するか。
有効な対策の一つに宅配ロッカーがある。受取人不在でも荷物を預けられるので再配達の必要がない。マンションや戸建て住宅などでは、個人用の宅配ロッカーを設置している所もある。ただ、個人用の宅配ロッカーは設置費用の負担が大きいため、急速な普及は望めないのが現状だ。
そこで政府は、駅などの公共スペースに不特定多数が利用できるオープン型の宅配ロッカーの配置を推進している。これは、宅配業者がロッカーに荷物を預けると、解錠に必要なパスワードが受取人に通知されるというものだ。
基本的なシステムは個人用宅配ロッカーと同じで、安全性も大差なく、設置費用の個人負担もない。オープン型宅配ロッカーの普及は、再配達問題の解決に大きく役立つと考えられている。
だが、課題はある。まずは消費者の理解だ。
再配達問題に関する内閣府の初の世論調査によると、オープン型宅配ロッカーを利用していない人の半数以上が、利用可能な場所に設置されたとしても「利用したくない」と答えた。安全性への不安や利用方法が分からないことなどが主な理由だ。国や事業者は丁寧な説明を重ねてほしい。
また、利用者に早く荷物を引き取るよう促すことも必要だ。ロッカーが全て埋まったままでは、新たな再配達を生みかねない。
ロッカーの設置場所の確保にも知恵を絞りたい。都市部の駅ほどスペースの確保が難しいからだ。駅舎の営業時間内しか利用できないことも想定される。こうした課題への取り組みも欠かせない。