eコラム「北斗七星」

  • 2018.01.10
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年1月10日(水)付



「旅立つ前に最後の思い出を」。沖縄県の北大東島を訪れた際、心温まる場面に出会った。それは高校進学などで島を離れる中学3年生と、その親が"相撲"で対決する祭事である。男子は父親と沖縄角力で、女子は母親と腕相撲で真剣勝負する◆同島は沖縄本島から約360キロ東に位置する孤島。島には高校がなく、子どもたちは15歳で島を離れ、親元から巣立っていく。親しみを込めて「15の春」と呼ばれる◆「今まで育ててくれてありがとう」。子どもが手紙を読み上げ、それに親が応えて試合を開始。親は子の成長を、子は親の大きさを再確認し合う。親子で参加する島での最後の行事。涙あり、笑いありの感動が島中に広がっていた◆沖縄には高校のない島が多く存在する。49ある有人島のうち、高校があるのは沖縄本島、石垣島、宮古島、久米島、伊良部島のみ。中学を卒業したばかりの子どもを送り出す親の不安はいかばかりだろうか。公明党は、その心配を少しでも解消しようと、離島生徒を受け入れる学生寮の建設を推進。島民からは「これで安心して送り出せる」との喜びの声も上がっている◆年が明け、子どもたちは新生活の準備を加速。島での生活も残りわずか。今年、15の春を迎える生徒たちにエールを送りたい。「都会の荒波に負けず頑張れ!」。(治)

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