e鳥インフルエンザ 厳重警戒続け、水際対策徹底を
- 2018.01.15
- 情勢/解説
公明新聞:2018年1月15日(月)付
香川県さぬき市の養鶏場で死んだニワトリから「H5型」の高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された問題で、県は約9万2000羽の殺処分を12日に完了した。
現地では、ふん尿や敷きわらの処分といった防疫措置も進められている。国や県、市など関係機関は引き続き緊密に連携し、封じ込めに総力を挙げてほしい。
国内で家畜の鳥インフルエンザが確認されたのは、この冬初めてである。過去に例がない四国での発生という点も踏まえ、感染ルートの解明が急がれる。
公明党の対策本部も12日、感染原因の究明や被害農家への支援充実を農林水産省に要請した。
今季は韓国、ロシアなど近隣国で高病原性の鳥インフルエンザ発生が相次いでいる。東京でも10日、鳥インフルエンザの遺伝子検査でオオタカの死骸から陽性反応が出た。
冬場は、ウイルスを運ぶ渡り鳥が日本に多く飛来する。厳重な警戒を怠ってはならない。
感染拡大を防ぐには、水際対策と初期対応が肝心だ。国や自治体は農家に対し、消毒の励行や鶏舎を覆うネットの点検、家畜に異常があった際の速やかな通報を改めて徹底すべきである。
宮崎県は、2011年に13の養鶏場で感染が発生して100万羽余りを殺処分した苦い教訓などを踏まえ、関係機関の役割分担や、対応に関するタイムテーブルを示した「防疫マニュアル」の改訂を進めてきた。こうした経験を積む自治体のノウハウを幅広く共有することも重要だ。
市民の協力も欠かせない。環境省は、感染した鳥との濃密な接触がない限り、人間にウイルスは感染しないとしているが、死んだ野鳥を発見した際は寄生虫などの感染を防ぐため素手で触れず、自治体の相談窓口に速やかに連絡するよう呼び掛けている。
農水省によると、国内で鶏肉や鶏卵を食べて感染した例はない。そもそも、殺処分や移動制限で、ウイルスが付着した鶏肉などが市場に出回ること自体が考えにくい。
無用な混乱や風評被害を防ぐため、国や自治体は、正確な情報を分かりやすく発信するよう心掛けてほしい。