e2018年春闘 脱デフレへ「3%」の賃上げを
- 2018.01.22
- 情勢/解説
公明新聞:2018年1月20日(土)付
日本経済を長年、苦しめ続けてきたデフレに終止符を打つ、思い切った賃上げを期待したい。
2018年の春闘は、23日に開かれる経団連と連合のトップ会談で本格化する。経団連は16日に発表した春闘に臨む経営側の指針「経営労働政策特別委員会報告」の中で、「『3%賃上げ』の社会的期待を意識しながら、自社の収益に見合った前向きな検討が望まれる」と明記した。
安倍首相の要請に応えた形とはいえ、経営側が賃上げの具体的な数値目標を盛り込むのは、極めて異例だ。デフレ脱却に向けた強い意欲の表れであり、経団連の積極的な姿勢を歓迎したい。
自公政権では、政府自ら旗振り役となって賃上げを強力に推進してきた。その結果、大手企業では14年以降4年連続で2%超の賃上げが実現し、中小企業でも昨年は一部で大手のベア(ベースアップ)を上回るなど賃上げの波が広がっている。
それでもなお、個人消費は勢いを欠く。ここは、従来よりも踏み込んだ3%の賃上げを達成し、従業員に「例年になく賃金が上がった」という実感を届けたい。
企業にとって「3%」は高い目標かもしれない。しかし、企業を支えているのは従業員である。仕事に対するモチベーションを高めれば、企業の利益や評価に反映されることを忘れてはなるまい。
人件費を単なる"コスト"と考えるのではなく、企業の成長につながる"投資"と捉え直す発想の転換が必要ではないだろうか。
留意したいのは、「働き方改革」に伴う労働時間短縮の影響である。長時間労働の是正は必要だが、残業手当の減少が手取り収入に直結しないような配慮が大切だ。
例えば、残業しなかった従業員に「ノー残業手当」を支給したり、残業時間にかかわらず基本給に一定額を上乗せする制度を導入している企業もある。月例賃金に限らず、さまざまな手当も含めて知恵を絞り、賃上げにつなげていくべきである。
長引くデフレで経営者や消費者の心に染み付いた"心のデフレ"を今年こそ払拭し、経済の好循環を一段と加速させたい。