eコラム「北斗七星」
- 2018.01.24
- 情勢/社会
公明新聞:2018年1月24日(水)付
年収の3分の1以上、借り入れている利用者が30%。うち13%は2分の1を超えている。会社員なら、返済するのが困難な状態に違いない。全国銀行協会が昨年末に実施した調査によって、銀行カードローン利用の実態が、明らかになった◆一方、自己破産の申し立て件数は、改正貸金業法の成立・施行など、消費者金融に対する規制強化によって減少してきたが、2016年は13年ぶりに増加に転じた。この間、銀行カードローンの貸し付け残高は急増、最近5年間で約1.7倍の5.7兆円に膨張。過剰な貸し出しへの批判が高まった◆改正法成立の06年当時、5社以上から借り入れている多重債務者は200万人に迫っていた。改正のポイントは、上限金利の引き下げと、他社の分も含めた貸し出し総量を年収の3分の1以内に抑えること。利用者の返済能力を超えての貸し出しを禁止することが主眼だ。規制に及び腰な主管官庁などを、公明党が強くリードした経緯もある◆当時、銀行は、貸し出し審査体制が十分だということで規制の対象外になったが、利用者の生活破たんを助長するようなあり方が許されるはずはない。昨年来、批判に応えて自主的な是正が進められている。改正法の立法趣旨にのっとった姿に立ち返ろうとする取り組みの行方を注視したい。(繁)