e倒壊家屋から命を救おう
- 2018.01.24
- 生活/生活情報
公明新聞:2018年1月24日(水)付
自治会420人が実践的訓練
静岡・富士市
地震によって倒壊した家屋からの人命救助や、身体の一部が柱など重い物に長時間圧迫された後に発症する挫滅症候群(クラッシュシンドローム)の応急処置を学ぶ防災訓練が先ごろ、静岡県富士市天間北2区(約520世帯の自治会)で全住民を対象に行われた。こうした内容の訓練は、専門的な知識も必要であることから地域単位で開催する例は少ない。実施を提案したのは2年前から同区の自主防災会長を務める公明党員の佐野富士夫さんだった。
挫滅症候群の応急処置学ぶ
挫滅症候群は、四肢や臀部など筋肉の多い部位が強い圧迫を受け、血流が悪化することなどで引き起こされる。圧迫時間が長いほどリスクは高まり、救助された場合でも数時間後に腎不全や急性循環障害などで死に至る場合もあるという。
訓練当日、約420人の住民が参加。自主防災会の五つの班に分かれて訓練を行った。
ある班は、倒壊家屋から人を救出する流れを5人程度のグループごとに実践した。まず、成人男性の身長や体重とほぼ等しい人形の上に、角材や木板、重さを再現する土のうなどを重ね、想定される災害現場を作った。次に「もしもし、大丈夫ですか。挟まれてから、どのくらい時間が経っていますか」と声掛け。その後、救助者がジャッキなどを使いながら木板を少しずつ持ち上げ、できた隙間から角材を取り除き、人形を救出した。参加者は人形に重みがかからないよう注意しながら、声を掛け合って作業を進めた。
他の班では挫滅症候群の勉強会を実施。家屋の柱などに圧迫された要救助者を救出するまで、水分補給や保温の応急処置や勇気づけを行う大切さを学んだ。
訓練に参加した男子中学生は「少し難しかったけど、いい経験になった」と語り、女性の一人は「日中は女性が活躍する場面もある。実践的な内容で良かった」と感想を述べていた。住民とともに訓練に臨んだ佐野さんは「救出方法や応急処置を住民が学び経験しておくことで、いざという時に、少しでも早く助けることができる」と強調していた。
自主防災会長(党員)の提案で実現
佐野さんは自主防災会長に就任して以来、大地震の発生時に役立つ実践的な防災訓練の必要性を感じていた。
昨年、どうすれば実現できるかを市消防団員に相談。その後、市消防分署が行う消防団の人命救助訓練に地元の区長や自主防災会のリーダーとともに参加し、倒壊家屋からの救助や挫滅症候群に関する専門知識を学び、今回の挫滅症候群の応急処置に関する訓練を実施した。
また当日、人形や木材、ジャッキなど必要な道具は消防署や自動車関連企業に借りて準備した。
「一人の命を守るため、公明党員の誇りを胸に、誰よりも強い責任感で地域防災に全力を注ぎたい」。佐野さんは決意を熱く語っていた。