eコラム「北斗七星」

  • 2018.01.26
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年1月26日(金)付



「春隣」という言葉をご存じだろうか。冬の季語で、すぐそこまで春が来ているという意味だ。実際、日差しは1日に畳の目一つ分ほど伸びるらしい◆とはいえ、今は大寒の次候(1月25日から29日ごろ)。折しも、数年に1度の非常に強い寒気が列島を覆っている。過去の事例を見れば、国内の最低気温は1902年1月25日、北海道旭川で記録。氷点下41度だった。想像も及ばぬ寒さである◆身体は辛くても、心は研ぎ澄ませたいと思うのはさがなのだろう。大手飲料メーカーの新聞広告が目に留まった。「60代の若者たちへ。」。刺激的なタイトルである。そこへ脚本家・倉本聰氏が「この先をどう生きるか。しまっておいた夢を取り出してみないか。」と呼び掛けているのだ◆夢を"金庫"に収めておくものの、40代ぐらいになって金庫の場所を忘れる。カギをなくす。自分が何をやりたかったのかすら忘れてしまうと。「何に喜びを感じるのか、それを識ること」。指摘は鋭い◆ちなみに国内最低気温を記録したころ、八甲田山では最悪の遭難事件が発生。陸軍199人が落命している。主因は「指揮系統の混乱」(新田次郎著『八甲田山死の彷徨』新潮文庫)とされるが、「雪中行軍は安易なものであるというような空気が瀰漫していた」(同)のも見逃せまい。党も個人も前進の日々を、と願う。(田

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