e本白根山噴火 "想定外"を教訓に対策強化せよ
- 2018.01.26
- 情勢/解説
公明新聞:2018年1月26日(金)付
群馬県の本白根山が噴火し、12人が死傷した。訓練中に亡くなられた自衛官のご冥福を祈るとともに、負傷された方々にお見舞い申し上げたい。
本白根山と白根山、逢ノ峰を総称して草津白根山と呼ばれる。このうち、最も南にある本白根山が23日午前に噴火した。
気象庁は今後も噴火の可能性があるとして、入山規制を示す「噴火警戒レベル3」を継続し、引き続き警戒するよう呼び掛けている。
公明党群馬県本部は23日に災害対策本部を設置。警察や消防と連携を取る一方、旅館など観光業者への支援に乗り出している。
今回、改めて浮き彫りになったのは、噴火予測の難しさである。
例えば、噴火の予兆と考えられる活動が見られなかった。気象庁が地盤の変動を伴う振幅の大きな火山性微動を観測したのは、噴火とほぼ同時刻だった。
また、火口となった鏡池付近で噴火があったのは3000年ほど前だが、2キロメートルほど北にある白根山の湯釜付近は火山活動が活発だ。このため監視の目は湯釜方向に集中し、今回の噴火の瞬間は撮影できなかった。気象庁の噴火警報が実際の噴火から約1時間後だったのは、映像で確認できなかった点が理由の一つだという。
噴火の時期も場所も想定外だったことがうかがえる。こうした教訓を、今後の対策に生かさなくてはならない。
2014年9月に発生した長野県と岐阜県にまたがる御嶽山の噴火は、戦後最悪の火山災害となった。これを受けて翌年7月に活火山法が改正され、「火山災害警戒地域」に指定された49地域に避難計画の策定が義務付けられた。
しかし、草津白根山地域の5町村のうち、策定済みは嬬恋村だけだ。全国的にも対象となる地域の取り組みは遅れ気味である。国による支援も含め、万一への備えを急いでほしい。
監視体制や情報提供のあり方の見直しも検討すべき課題だ。観測技術の向上にも不断の努力が求められる。
国内にある111の活火山と共生していくため、今後も知恵を絞り続けたい。