eコラム「北斗七星」
- 2018.01.30
- 情勢/社会
公明新聞:2018年1月30日(火)付
昨年末の紅白歌合戦で、紅組のトリの曲は石川さゆりさんの「津軽海峡・冬景色」だった。北国の旅情が胸に響く歌詞に描かれた連絡船は、30年前の青函トンネルの鉄道開通に伴い、姿を消した◆31年前、岡山県の宇野駅から出る連絡船に乗ったことがある。船を下りると、そこは高松駅のホームだった。その宇高連絡船も瀬戸大橋の鉄道開通で廃止されたが、船のデッキで食べる「さぬきうどん」の味を懐かしむ人は多い◆本州と四国を結ぶ橋の構想は、1889(明治22)年に初めて提唱された。1955(昭和30)年、宇高連絡船「紫雲丸」が濃霧による衝突事故で沈没し、修学旅行中の児童を含む168人が亡くなった。この大惨事を契機に、架橋建設への機運が高まった◆その瀬戸大橋は4月に開通30周年を迎える。2階建て構造の上部を車、下部を列車が通る世界最大級の道路鉄道併用橋には、在来線と並行して新幹線の走るスペースが設けられている。これを生かして地域振興を図ろうと、四国新幹線の整備を求める動きが本格化している◆青函トンネルは新幹線が開業してから間もなく2年。本紙17日付には、青森と北海道の党員が交流を深める研修会を開いたとの記事も。美しい瀬戸の島々を眼下に海を渡る"鉄の道"にも、いつの日か、新幹線が走る姿を見たい。(祐)