e大阪府 19年度までの3年間で府立高107校 トイレ洋式化
- 2018.01.31
- 政治/大阪
公明新聞:2018年1月31日(水)付
限られた予算で一気に
「1系統」に絞り改修 注目集める"新方式"
生徒らに好評。近畿、関東の各県から問い合わせも
整備に手間がかかる上、財源不足などから公立高校の「トイレ洋式化」が全国的に遅れている。そんな中、大阪府は2019年度末を目標にトイレが未改修の府立高校107校について、独自の手法で一気に洋式化を進めており、注目を集めている。これは、校内の全トイレのうち、配水管が1階から最上階までつながる1系統のトイレのみを短期間で効率良く優先的に改修することを通じ、全高校の各階に1カ所ずつ洋式トイレを確保する手法。府議会公明党(八重樫善幸幹事長)は府立高校のトイレの改修・洋式化を強力に後押ししてきた。
2019年度までに全府立高校で「洋式化」が進む予定高校のトイレ洋式化が遅れている背景には、(1)小中学校と異なり改修に対する国の補助金がない(2)高い改修費用(3)優先されてきた校舎の耐震化――などがある。一方で、和式便器や給排水設備の老朽化は従来から問題視されており、教育現場からは早期改修を求める声が上がっていた。
この課題解決へ一石を投じたのが、大阪府が実施中の、配水管が1階から最上階まで垂直方向の縦一列に位置する"1系統"のトイレを改修し、各階に1カ所ずつ洋式トイレを確保していく手法だ。
府は同手法を用いて2017年度から3年間かけ、府立高校138校中、トイレが未改修の107校(昨年3月現在)で洋式化を進めている。対象のトイレでは床が張り替えられるほか、配水管も更新される。
同手法の利点は、限られた予算で多くの学校に洋式トイレを設置できること。1校当たり1系統の工事費は約5000万円。府立高校には2~5系統(平均3.09系統)のトイレがあることを踏まえると、1校を完全に洋式化する費用で約3校に洋式トイレを速やかに導入できる計算だ。また、各階に1カ所ずつ洋式トイレが完備されることから、生理的に和式トイレを利用できない生徒にとっても安心して学校のトイレを利用できるようになると期待される。
府議会公明党の訴えで大きく前進
16年9月定例会で、公明党の八重樫幹事長は府立高校におけるトイレの改修・洋式化について府の方針をただした。
この中で、八重樫幹事長はトイレの改修が手付かずの状況にある高校について、「劣悪な環境」と指摘し、早急で計画的な改善を求めた。これに対し松井一郎知事は、全校において生徒が洋式を使える環境を短期間で整えていく考えを示し、「少しでも早く実行したい」と答えていた。
府議会公明党は先ごろ、トイレの改修を終えた府立清水谷高校(橋本卓爾校長)を視察。関係者と意見交換した。席上、学校側は生徒から喜ばれている様子を紹介するとともに、「保護者や受験生からも好評だ」と報告。一方、府側は、近畿や関東の他県から新方式について問い合わせが寄せられていると説明していた。
八重樫幹事長らは「大阪から全国のモデルケースになるような整備方式を始めることができた。引き続き学習環境の改善に力を入れていく」と決意を語っていた。