eたん吸引、経管栄養など 医療的ケア児を支えよう

  • 2018.02.02
  • エンターテイメント/情報
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公明新聞:2018年2月2日(金)付



川崎市で家族らが主張コンクール



たんの吸引や人工呼吸器の装着、チューブで栄養補給する経管栄養など、日常生活の中で医療的な支援を必要とする「医療的ケア児」と呼ばれる子どもが年々増加している。医療的ケア児は24時間、目が離せない場合が多く、家族に対するきめ細かい行政支援は急務の課題だ。先月、川崎市で開かれた「医療的ケア児と家族の主張コンクール」(主催=一般財団法人「重い病気を持つ子どもと家族を支える財団」)に足を運んだ。



高校生「進路の選択肢がほしい」
母 親「小学校に看護師配置を」


苦悩と不安の日々


「ケア生活に疲れ、『逃げたい。この子が短命なら』とわが子の死を望み、自らを責める毎日だった」「ゴールの見えないマラソンランナーのよう」――。子どもの医療的ケアに追われる日々を送る親たちが心境を吐露する。周囲の理解が進まない現状や、不十分な支援制度。苦悩と不安に揺れる切実な訴えが場内に響いた。

コンクールでは、全国の応募23作品のうち、事前審査で選ばれた10組の家族らが、必死に生きる日常や未来への希望を発表した。

グランプリを受賞したのは、東京都大田区で都立特別支援学校の高等部に通う加藤空さん(15)の「医療的ケアとぼくの想い」。

空さんは、1280グラムの低体重児で生まれ、慢性疾患と希少難病を抱える。胃ろうや導尿などのケアが必要だが、母親らが区役所や教育委員会などに掛け合い、小中学校は区立の普通学級で学ぶことができた。友達として対等に接してくれた仲間と時間を過ごせたうれしさを伝えた。

将来は難病に苦しむ人を救いたいと、細胞や薬の研究者をめざす空さんは、「義務教育では法律が居場所を守ってくれた。でも高校や大学への進学、就職はそうはいかない。僕にも進路の選択肢がほしい」と主張。「将来の夢を話せることが、僕たちにとってどんなに素晴らしいことかを想像してほしい。医療的ケア児であることで希望が失われることは悲しい」と語り、社会の理解と行政支援の重要性を訴えた。


必死に生きている


また、都内に住む小椋一昌さんは、先天性の遺伝子疾患で寝たきりの次女(2)の父親として、「この子にも全ての人たちと同じく生まれてきた意義や意思、そして目的がある。一人の人格として自らの人生を必死に、主体的に生ききろうとする存在だ」と語った。

このほかにも、ある母親は、長男が医療的ケア児であるために保育所入所を断られ続け、精神的に追い詰められた経験や、小学校入学に向けての不安について言及。学校生活では、保護者の付き添いが求められることが多いことから、医療的ケアができる看護師の配置支援などを求めた。


10年間で1.8倍増


受け入れ体制の充実など 政府、支援強化急ぐ


医療的ケア児は、2016年5月に成立した改正児童福祉法で初めて法律上に規定された。適切な支援を行うよう努力義務を自治体に課した。

医療の進歩を背景に、低体重や先天性の難病などを抱える新生児は、近年増加傾向にある。厚生労働省の推計によると、15年度で19歳以下の医療的ケア児は全国に約1万7000人。この10年間で約1.8倍になった。

医療的ケア児といっても症状はさまざまだ。人工呼吸器などが必要で寝たきりのままでケアを必要とする場合もあれば、とても病気とは思えないほど元気に走り回る子どももいる。

政府は現在、ケア児が利用できる施設が少ないことなどを踏まえ、保育所などへの看護師の派遣や、たん吸引などの研修費用を自治体に補助し、人材確保など支援体制の整備を促すモデル事業を実施している。

また、支援制度の充実を急ぐため、18年度障害福祉サービス等報酬改定では、放課後等デイサービスなどの施設がケア児を受け入れるために看護職員を配置した場合に、報酬を加算する制度の創設を予定している。


公明、体制整備を一貫して推進


公明党はこれまで、一貫して医療的ケア児の支援体制の整備を推進してきた。07年参院選のマニフェスト政策集に、医療ケア確保のために特別支援学校への看護師配置を明記。公立小中学校でのケア体制の整備にも取り組んできた。

また、16年5月の児童福祉法の改正では、公明党の主張で支援規定が盛り込まれた。

1月25日の衆院本会議では、井上義久幹事長が代表質問に立ち、ケア児が安心して学び、生活できる学校での支援体制や在宅支援の早期の充実を要請。首相は「政府全体で支援にしっかり取り組む」と答えた。

さらに、同31日の参院予算委員会でも山本香苗さんが、小中学校で看護師が配置された場合でも、人工呼吸器を付けていると、学校側が親の付き添いを求める実態が多いとし、速やかな改善を求めた。

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