eサンドボックス制度  技術革新の速度アップに重要

  • 2018.02.06
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年2月6日(火)付



第4次産業革命を見据え、わが国の国際競争力を強化する重要な取り組みとして注目したい。

政府は1日、未来投資会議を開き、成長戦略の要である「生産性革命」の実行計画を了承した。計画は生産性革命法案に盛り込まれ、今国会での成立をめざす。

計画の目玉は、革新的な商品やサービスの開発に挑む企業や大学が、法規制にとらわれずに、技術開発に取り組める環境を整備する「サンドボックス制度」の創設だ。

サンドボックスは英語で砂場を意味する。子どもが汚れを気にせず、自由に山やトンネルを作ることができる砂場のように、あらゆる技術の実現性を探るのが目的だ。

地域限定で規制を緩和・凍結する制度としては、既に国家戦略特区がある。これに対しサンドボックス制度は、可能な限り"規制ゼロ"の環境を提供することにより、研究開発の速度を格段に向上させるという点で、画期的な取り組みといえよう。

例えば、自動運転の実験車を公道で走らせる場合、これまでは道路封鎖をするための道路使用許可など、事前の手続きだけで多くの時間や手間がかかる。

一方、サンドボックス制度では、開発者が安全性を十分に確保し、実験の意義について住民らの理解が得られていれば、現行制度で必要な手続きを不要にする。また、実験で得られた成果を法規制の改善に生かすことで、より多くの産業で新たな技術開発が進む波及効果も狙う。

既に、2020年の東京五輪・パラリンピックで利用客の増加が見込まれる羽田空港周辺での自動走行実験で、サンドボックス制度の活用が想定されている。

海外では、ネット通販のデータを基に新たな商品を提案するサービスや、人工知能(AI)を活用した医療診断など、革新的なアイデアが次々と生まれ、市場が急拡大している。その推進力の一つとして各国が導入しているのがサンドボックス制度だ。

ただ、制度が有効に機能するかどうかは規制を所管する各省庁の対応が鍵を握る。この点、関係閣僚の強いリーダーシップが求められることは言うまでもない。

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