eコラム「北斗七星」

  • 2018.02.09
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年2月9日(金)付



地方の医師不足などを補い、誰もが安心できる医療体制の構築へ、着実に実績を積み重ねている。小型ジェット機で患者を搬送する「メディカルウイング」が北海道でスタートして半年が過ぎた◆メディカルウイングは、患者の病状に応じて高度で専門的な治療が必要な場合、都市部の大病院へと転院する際に活用される。実例では稚内、函館、釧路、女満別などの各空港から札幌へ。病院間の搬送時間は2時間前後。陸路なら、この数倍は優にかかる◆救急現場で活躍するドクターヘリと違い、機内の騒音や振動、気圧変化が少なく、患者への身体的負担が軽いのも利点。万一に備えて出産スペースも確保、主治医が同乗し容体を確認しながら搬送する◆先月末までの出動回数17件のうち、生後1カ月未満児と妊産婦が5件。小児科医や産科医が特に少ない地方の現状に応え、周産期医療などが受けられる環境づくりに一役買っていることが見て取れる◆道や道医師会、民間航空会社などが長年、実証運航に取り組んできた経緯を踏まえ、現状では原則、道内のみの運航だが、東京、大阪への搬送例もある。全国展開は十分に可能で、多くの離島を抱える沖縄県をはじめ必要とする地域は多いはず。円滑な運用ノウハウを蓄積し、さらに大きく羽ばたく日をめざしてほしい。(武)

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