e"藻"由来のバイオ燃料

  • 2018.02.16
  • 情勢/テクノロジー

公明新聞:2018年2月16日(金)付



党九州・沖縄 再エネ研究会が視察
熊本・天草市



公明党の河野義博参院議員と、九州・沖縄各県の地方議員の有志で構成される「再生可能エネルギー研究会」はこのほど、熊本県天草市で藻からバイオ燃料を作り出す研究に取り組む株式会社デンソーの培養施設「天草事業所」を訪ね、関係者から研究内容などの説明を受けるとともに、関連施設を視察した。これには赤木武男天草市議、五通俊作党副支部長(ともに市議選予定候補)も同行した。


絞りかすは魚や豚の飼料に


自然豊かな天草市五和町の山あいにある天草事業所は、廃校になった五和西中学校の跡地を活用して2016年7月に開所。体育館にある実験室で藻の一種「シュードコリシスチス」(以下、シュード)の種を培養した後、運動場に設けた楕円形の三つのプール(長さ20、40、80メートル)で育成している。中をのぞくと、入浴剤を溶かしたような緑色の液体が、日の光を浴びて、ゆっくりと流れていた。

デンソーは08年から、二酸化炭素(CO2)の排出削減に役立つ、藻を使った研究を開始。そのカギを握るシュードは、大きさが5マイクロメートルの単細胞で増殖が早く、病気に強い。光合成によって大気中のCO2を吸収し、軽油に似た燃料を体内に生成しやすいのが特長だ。さらに、燃料を取り出した"絞りかす"も栄養価が高く、魚や豚などの飼料にも活用できる。


製造コストの引き下げが課題


現在、同事業所では年間で約100リットルの軽油成分を含む油を生産。将来的には、80メートルプールを増設するなどして、より多くの生成をめざすが、実用化には1リットル当たりの製造コストの引き下げが欠かせない。

新事業推進部の渥美欣也担当部長は、「藻はCO2を発生させることがなく、トウモロコシのように食料価格の影響もない。最も地球温暖化対策に貢献できる次世代エネルギーの一つ」と、その利点を強調。一方で、「燃料1リットル当たりの価格を近い将来、軽油と同じ100円台にまで引き下げたい」と、実用化に向けた目標を語った。

こうした研究内容や課題などについて説明を受けた一行は、体育館の実験室や運動場の楕円形プールなどを視察した。

今回の視察で同研究会として、九州・沖縄全県での調査活動を行ったことになる河野氏は、「九州・沖縄には、その土地の特長を生かした画期的な取り組みがたくさんある。藻から生み出したバイオ燃料の実用化も含め、国、県、市と連携しながら後押ししていきたい」と語っていた。

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