e行政文書の管理  政策の決定過程を明らかに

  • 2018.02.19
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年2月19日(月)付



各省庁は今、行政文書管理規則の改正を進めている。

その理由は、森友学園や加計学園の問題で、国有地売却や設立認可といった政策決定に関する議論や交渉が行政文書として残されていなかったり、破棄されていたことに対し、国会から昨年来、厳しい批判が続いているからだ。

2011年施行の公文書管理法の目的は「(国の諸活動を)現在および将来の国民に説明する責務が全うされるようにすること」(第1条)である。いま一度この理念に立ち返る必要がある。

各省庁の改正案は有識者からなる公文書管理委員会でチェックを受け、その答申に基づき最後は首相が同意か否かを判断する。4月1日から改正規則が動きだす。

改正の柱は、公文書管理委員会で議論され、昨年末に首相決定で制定された「改正・行政文書管理ガイドライン」で示された。

まず、政策立案や事業の実施に関する打ち合わせや外部との折衝の記録は、行政文書として作成し原則1年以上の保存が義務付けられた。

次に、各省庁で異なっていた保存期間1年未満の文書の範囲を類型化して限定した。

1年未満の問題が注目を集めたのは昨年、国会が南スーダン国連平和維持活動(PKO)を検証しようとした時だった。陸上自衛隊がPKOの日報という重要な行政文書を保存期間1年未満として廃棄したと答弁しながら、後でそれが出て来るといったこともあり、「不都合なものは1年未満にして恣意的な隠ぺいを謀ったのではないか」との疑念を国民に与えた。

そこで、保存期間1年未満の行政文書を(1)正本・原本の写し(2)定型的・日常的な業務連絡・日程表(3)明白な誤りなど客観的な正確性確保の観点から利用に適さなくなった文書―などに限定した上で、廃棄の記録を一定期間ごとに公表する義務を課した。

また、1年未満に当たる類型であっても、局長や政府に報告したような重要事項を含む文書は1年以上の保存期間にするよう義務付けた。

公文書管理法は行政文書を「国民共有の知的資源」と定める。国民の検証に耐える行政文書を作成し保存することは政府の責務である。

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