eバリアフリー 地方の取り組み 後押ししたい

  • 2018.02.28
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年2月28日(水)付



高齢者や障がい者を含め、全ての人がスムーズに移動できることをめざすバリアフリーの街づくり。その流れを都市部から地方へと広げたい。

政府は今国会にバリアフリー法改正案を提出している。2020年の東京五輪・パラリンピック開催を控え、各地で進められている公共施設や交通機関などのバリアフリー化を、さらに加速させることが目的だ。

注目したいのは、都市部だけでなく、比較的小さな自治体の取り組みを支援する手だてが盛り込まれていることである。

市区町村が駅や道路、公共施設のバリアフリー化を一体的に進める場合、その費用の一部について、国からの助成をより受けやすくするには、民間事業者の協力を得た上で「基本構想」を作成する必要がある。

ところが、基本構想を作成済みの市区町村は昨年3月末現在で294自治体、全体の2割弱にとどまっている。

なぜか。民間事業者の協力を促すには、自治体側がバリアフリー化の全体像を示し取り組みの本気度を明確にすることが重要になる。しかし、そのための人員や費用が確保できず、基本構想の作成にまで至っていないのが実情だ。

このため改正案では、バリアフリー化に関する大枠の方針を示す「マスタープラン」の作成を市区町村の努力義務とし、国が作成費用を補助する仕組みを創設した。バリアフリーの街づくりに欠かせない民間事業者の協力を得る上で、大きな後押しとなろう。

地方の小規模自治体でバリアフリー化を加速させることは、自治体間の格差拡大を防ぐことにもつながる。この点からも改正案の早期成立を期したい。

当事者の視点も忘れてはならない。

改正案には、障がい者らが参加してバリアフリー施策を評価する会議の開催が明記されている。

この取り組みについて、14日に開かれた公明党の会合では、障がい者団体から「非常に良かった」との声が寄せられた。改正案に対する関係者の期待は大きいと言えよう。

官民を問わず力を合わせ、世界に誇るバリアフリー社会の実現をめざしたい。

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